静岡県の伊東市には、小さな丘がたくさんある。これらの丘はすべて約15万年前の噴火によってできた火山群である。この火山群の一つにひときわ美しい円錐台形の形をした山「大室山(おおむろやま)」がある。秋になると黄金色に輝く、ススキの絶景スポットになる。今回は、黄金色の大室山をレポートする。
■大室山とは
「大室山」は伊豆東部火山郡の一つで、山全体が「国指定天然記念物」になっており、伊東のシンボル的存在である。大室山の麓には、噴火によって流れ出た溶岩で形成された、なだらかな形の伊豆高原が広がっている。
大室山の火口は、火山噴火のときに「スコリア」が降り積もってでき、直径約250m、深さ75mの大きさである。スコリアとは火山噴出物の一種で、比重が小さくて見た目は軽石のようだ。
また、大室山はスコリアで形成された丘「スコリア丘(きゅう)」として全国初の天然記念物に指定された山で、山焼きによって樹木が生育していないため、今でも美しい円錐台形のフォルムを保っている。同じスコリア丘としては、熊本県阿蘇山にある「米塚(こめづか)」も有名である。
■実は「登山禁止!」歩いて登れない「大室山」
大室山はスコリア丘としての山肌を守るために徒歩での登山が禁止されている。その代わり、上り下りともリフトに乗って頂上に移動することが可能。大室山は山自体が御神体で、大鳥居をくぐったところにリフト乗り場がある。往復代金1000円を支払い、山頂までの空中散歩を体験できる。
リフトは山肌に沿って低空を移動するので、高さは感じない。6分ほどで山頂に到着する。また、山頂には測量の基礎となる「三角点」が設置されているので、ぜひ確認してみよう。