暑さが和らぎ、紅葉に色づく景色を楽しめる秋は、アウトドアにうってつけの季節だ。食欲の秋、運動の秋とも言われるので、登山やハイキング、キャンプの予定を立てている人も多いだろう。

 秋のアウトドアではコオロギやスズムシなどの虫の声を楽しめる一方、蜂や蚊などの害虫も活発に活動する時期である。今回は秋のアウトドアで注意したい蜂や蚊の脅威、その対策について紹介しよう。

■秋はスズメバチに要注意!

 9月、10月はスズメバチは年間で最も攻撃的になる季節。特に、日本に生息するオオスズメバチは世界最大のスズメバチで、縄張り意識が高く、蜂の中で最も攻撃的で危険なのだ。

 この時期のスズメバチは働き蜂の数がピークに達しており、餌となる芋虫などが少なくなるので攻撃的になるという。よって、秋の登山やハイキング、キャンプなどでスズメバチの巣の近くを通ると威嚇され、攻撃対象になってしまうことがあるのだ。また、スズメバチの巣は木の上だけでなく土中にもあるので、誤って踏まないように気をつけないといけない。

秋のアウトドアは蜂に注意 巣は木の上だけでなく土中にあることも(撮影:伏見みう)

 去年の秋、筆者が夫とハイキングを楽しんでいたところ、スズメバチに囲まれ、威嚇されて恐怖を感じたことがある。

 スズメバチは巣の近くに外敵が来ると、偵察蜂が羽音やカチカチと顎を鳴らして威嚇してくる。この段階では特に襲ってくるわけではなく、外敵が立ち去るのを待っているのだ。ここで立ち去らない、手を振って追い払う等、攻撃されたと判断されると警戒フェロモンを噴出し、仲間の蜂を呼び寄せてしまう。仲間の蜂が集まってしまうと危険極まりないので、こうなる前に早々に蜂を刺激せずに立ち去ろう。

 筆者らは羽音が聞こえてきた段階でゆっくり後退し、距離を取ろうと試みたが、しばらく追跡されてかなり怖い思いを味わった。

秋のハイキングはスズメバチに警戒、注意しながら楽しもう(撮影:伏見みう)

 スズメバチに威嚇、攻撃されないために以下の行動を心がけることが大切だ。

・黒い服装を避ける:蜂は黒いものに攻撃する習性があるので、頭部も帽子を被るなどの対策が大切
・香りの強いものを身につけない:香水や制汗剤など、香りの強いものを身につけると、警戒した蜂が寄って来ることがある
・手で振り払わない:蜂が近づいてきて手で振り払うと、蜂を刺激してしまうので急な動きをしないようこらえよう
・走らない、大声を出さない:こちらも蜂を刺激してしまう行動なので避けること
・しゃがんで視界から消えて距離をとる:蜂は目の構造上、真下を見ることができないので、距離が縮み過ぎた際はしゃがんでからゆっくり反対方向に逃げよう

 筆者らもスズメバチに囲まれた際、声をあげずにゆっくり後退したものの、数十mほど追跡され、仲間の蜂が少しずつあちこちから集まり、いきなり横側から現れた蜂に驚き危うく接触しそうになった。ここで接触していたら攻撃されたと判断され、かなり危険な状況になっていただろう。夫の機転でその場でしゃがみ、スズメバチの視界から消えてゆっくりその場を離れて事なきを得たが、かなり恐怖を感じた。この時は危険を感じたのでハイキングを中止し、予定を変更して近場のカフェに向かった。

 このようにハイキングコースに蜂があまりに多い場合は、勇気ある撤退をするのも一つの手。撤退した後に他の予定を考えておくと、撤退する心のハードルが下がるのでおすすめだ。

 万が一蜂に刺されてしまったら、スズメバチはミツバチと違って何度も毒針で刺して来るので、その場から立ち去り、なるべく早く病院に行って適切な処置を受けることを心がけよう。スズメバチだけじゃなく、アシナガバチなど他の蜂に刺されてしまった時も病院へ行くこと。