■迷信3. クマに遭遇したら死んだふりを

 ある時代まで、「クマにあったら死んだふりをしろ」といわれていた。しかし今回、1950〜90年代の登山ハウツー本を調べてみたが、どこにもそんなことは書いていない。民間伝承のようなものだろう。

 2021年3月、環境省は「クマ類の出没対応マニュアル」を改定。 ①遠くにクマがいることに気がついた場合、②近くにクマがいることに気がついた場合、③至近距離で突発的に遭遇した場合、と3つに分けてクマ対処法を示しているが、もちろんそこに「死んだふり」はない。ただし、③について、“両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要”としている。つまり、「死んだふり」はまるっきり無意味ではないが、少なくとも仰向けでは意味がないということだ。

 では、いつから言われなくなったか? これはインターネットの普及と関連していると考えられる。この四半世紀で人々は“これまで信じられていたことが間違っていた” ことの数々をウェブで知った。そのうちの一つが「死んだふり」だったのではないだろうか? 

●正しい知識:近くにクマがいると気づいたら背を向けずに後退する

 背を向けることなく、クマを見ながら、落ち着いてゆっくりとその場から後退するように、が推奨されている。

 

【soto 秋山 2021 より再編集】