約2万5000個の竹灯籠が町を彩る(撮影:田奈 真知)

■「越後みしま竹あかり街道」とは?

 うだるような暑さに包まれた2023年の夏。ようやく暑さもやわらぎ、夕暮れになるとヒンヤリとした風に秋の気配を感じるようになった。涼しくなる秋の夜は、夜祭が開催される所も多い。

 今回は、秋の夜長にゆっくりと歩いてみたくなるイベント「越後みしま竹あかり街道」をご紹介。今年の秋は、ノスタルジックで幽玄な世界をそぞろ歩いてみてはどうだろう。

■江戸情緒が残る三島脇野町が舞台

竹を使ったアート作品も見られる(撮影:田奈 真知) 

 越後みしま竹あかり街道の舞台は、新潟県中越地方にある長岡市三島。森林面積の占める割合が6割と自然豊かな地域で、質のよい豊富な湧き水を生かした日本酒や味噌の醸造、うどんや素麺などの製麺が古くから盛んに行われてきた。

 町の中心地である脇野(わきの)本町通りには、江戸時代の面影が強く残り、「越後長岡百景」にも選ばれている。この脇野町本町通りをメイン会場として、同イベントが開催される。

■放置竹林の有効活用がきっかけ

明かりは環境に配慮したLED(撮影:田奈 真知) 

 秋祭りとして同イベントがスタートしたのは2010年。当時、放置竹林の繁茂により、本来の美しさを失いつつあった里山の風景を未来に残そうと、地元有志が協力し放置竹林の有効活用の一環として、伐採した竹材を用いて竹灯籠を作ったのが最初だった。

 その竹灯籠を夏祭りの会場で灯したのを機に、中越地震の復興イベントなど徐々に認知され、2010年に「越後みしま竹あかり街道」と銘打って第1回を開催。現在では、地元企業、長岡造形大学などの協力を得て地域を代表する一大イベントにまで成長している。