●3. 神秘的な苔の世界! 雨の日でも堪能できる

 筆者が白谷雲水峡をおすすめする最大の理由はこれだ。目に映る緑の苔の世界がとにかく神秘的できれいだ。ゴールは太鼓岩だが、そこに至るまでの道もずっと楽しい散策となる。

まるでおとぎ話に出てくるかのような幻想的な景色が続く(撮影:佐野葉月)

 とくに、入り口から1時間半〜2時間ほどで現れる「苔むす森」は、息を呑むほど美しい。映画「もののけ姫」のモデルとなった場所だといわれており、宮崎駿監督も何度も訪れたそうだ。ゆっくり歩いていると、森の精霊「こだま」がひょっこり顔を出しそうな幻想的な場所である。

「苔むす森」に入ると、岩も木の幹も枝も美しい緑で覆われる(撮影:佐野葉月)

 また、屋久島は日本一雨が多い地域なので、トレッキングにも雨はつきものだ。筆者が滞在した4日間も、うち3日はしとしとと雨が降っていた。トレッキングに雨なんて、とがっかりする人もいるだろうが、白谷雲水峡は雨の日こそ、その魅力が増すといわれている。岩も木の幹も枝も覆う緑の苔の上には、雨の雫が輝き、青みがいっそう深くなる。また、茂った木々が雨よけになってくれ、傘をささなくてもそれほど気にならない。ただ、雨天時は沢が増水しているので歩く際は十分注意したい。

 そして、雨上がりの景色はとくに絶景だ。ぜひその目で美しさを思い切り堪能してほしい。

生命の神秘を感じる森(撮影:佐野葉月)

 筆者が白谷雲水峡を訪れた最初の印象は、「日本にこんなところがあったのか」、同じ日本だと思えないような、どこまでも広がる神秘的な水と緑の世界。一度訪れたらまた必ず行きたくなる、といわれる不思議な生命の神秘を感じるもののけの森。心身ともに癒やされる森にぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

白谷雲水峡
・住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦

【ホームページ】http://y-rekumori.com/shiratani_text/

※この記事の情報は2023年7月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。