■絶景の稜線を歩く雲取山の登山道

雲取山荘付近から見たご来光(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

 炭窯跡を後にすると、いよいよ本格的な登りとなる。樹林帯の急な坂を進み、いくつかの峰や山を越えていくと、5時間ほどで「雲取山荘」へ到着する。日本百名山とあって、山深い場所でも登山道は整備されていて比較的歩きやすい。ただ、コースが長いためここで1泊することをおすすめする。山荘にはテント場も併設されており、売店や炊事場、水洗トイレも利用できる。筆者は雲取山荘のテント場に泊まった。肌寒い夜だったが、翌朝テント場から見たご来光は、疲れを忘れさせてくれるほど幻想的で美しかった。

 雲取山荘から山頂までは、歩いて約20分。山頂は開けていて、見晴らしがよい。天気に恵まれれば富士山、八ヶ岳まで見渡すことができる絶景だ。山頂からは石尾根を下り、自然の雄大さに何度もシャッターを切った。炭治郎と禰豆子もこの付近を歩いたのかもしれないと想像しては胸が高鳴った。

標高2,017mの雲取山の山頂。富士山や雲海を眺めることができる(撮影・穂高カレン)

■聖地巡礼に沸く山梨県・丹波山村

聖地巡礼に沸く「雲取山」の鴨沢登山口。『鬼滅の刃』の竈門炭治郎らの出身地とされ、キャラをイメージしたのぼり旗も飾られている(ブラボーマウンテン編集部)

 山頂から東京都奥多摩方面へは、コースタイムの5時間ほどで下山した。「鴨沢」バス停のある鴨沢ルートの登山口には「丹波山村雲取山」と書かれたのぼり旗が飾ってあった。キャラをイメージした色や模様の旗に目を奪われ「ここが聖地なんだ」としみじみと感じた。山梨県丹波山村はPRに力を入れており、道の駅などでも同様ののぼり旗を見ることができるという。

 鴨沢バス停からはバスで約40分でJR奥多摩駅に着いた。鴨沢登山口の周辺も、東京都内とは思えない自然豊かな場所で、エメラルドグリーンの奥多摩湖に癒された。周辺を歩くだけでも森林浴が楽しめそうだ。
アニメの新シリーズが放送され、さらなる人気と盛り上がりを見せる『鬼滅の刃』。主人公炭治郎たちのふるさと「雲取山」周辺へは、都内から公共交通機関でアクセスできる。登山はハードルが高いという人も、聖地巡礼に沸く登山口で自然を感じてみるのはいかがだろう。

 山道ではけがをしないよう「全集中」で挑んでほしい。