■燕山荘へ到着、テント泊とライチョウ

燕山荘から望む燕岳山頂(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 合戦小屋から再び登山を再開。ここからは稜線上を歩くことになり、景色も開けてくる。天気のよい日には槍ヶ岳を横目に登っていくことになり、次第に気持ちも高ぶってくる。

 登山口からおよそ5時間ほどかけ、ついに到着した燕山荘。ここから望む燕岳は、何度訪れても飽きない。山荘で早々にチェックインを済まし、今回はテントで1泊を過ごす。

■雨の中のテント泊で出会った親子ライチョウ

 テントを無事張り終え、ボーっと山頂を眺めていると、先ほどまで晴天であったのが嘘のように、しとしとと雨が降り出した。

 周りの宿泊者もテント内に逃げ込み、周囲に静けさが広がってからしばらくすると、近くから「クークー」といった鳴き声が聞こえてきた。普段耳にしない独特な鳴き声に、もしやと思い、そっとテントの外へ出てみると、テントの真横をライチョウ親子がテクテクと歩いていた。

母親ライチョウの周りを付いて歩く子どもたち(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 自分以外の登山者もテントから顔を出し静かに眺めていたが、ライチョウ親子はお構いなく、といった様子で餌を探している。母親も含め、人間を怖がる様子は一切感じられなかった。

 ライチョウといえば、登山者が思い浮かべる最もメジャーな野鳥だろう。長野県内のお土産屋では、ライチョウにまつわるお菓子が並んでいるくらい身近な存在だ。

 しかし、実際にはライチョウを直接目撃したことのある登山者は意外と少ない。というのも、ライチョウは現在も減少傾向にあり、1980年代に3000羽ほどと推定されていたが、2000年代は国内で2000羽ほどの生息数となってしまっている。

出典:https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/raicho.html

 ガスがかかり景色は悪くなってしまったが、天気が悪く人の気配が少なくなったからこそ、ライチョウ親子に出会えたのかもしれない。時間にしておよそ15分ほどだったが、貴重な体験ができた。

テントサイトを歩き回る、意外にもスリムな母ライチョウ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)