梅雨が明け、高所登山のシーズンに差し掛かる7月中旬。北アルプスの女王とも言われ、登山初心者からベテランまで幅広く愛される山、燕岳へ1泊2日のテント泊山行に出掛けた。

 燕岳は標高2,763mで、新日本百名山に選定される人気の山だ。ハイシーズンの連休に行こうものならば、稜線上での大渋滞に巻き込まれることも少なくない。それでもなお、多くの登山者が憧れるのは、そこにしかない絶景と達成感があるからだ。

 登山道は比較的整備され危険個所も少なく、初心者にもオススメできるのもポイントだ。今回は7月中旬から8月にかけて、まさに山行ピークを迎える燕岳登山と、山荘近くで出会ったライチョウ親子についてレポートする。

■中房温泉登山口から燕岳へ

中房・燕岳登山口。この時点で標高は1,462mある(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 中房温泉登山口を朝7時ごろに出発。今回の山行は1泊2日予定のため、登山スタート時間はゆっくりな上り始めとなった。

 燕岳登山のメイン登山口はこの「中房温泉」であるが、数百メートル離れた先にある登山者専用駐車場は第1~3の、計3か所。駐車可能台数は少なく、ハイシーズンは混みあうので、余裕を持った到着が望ましい。

■燕岳名物「合戦小屋のスイカ」

好みで塩をかけて。山荘で食べるスイカは絶品(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 登り始めること数分、いきなり急登となる。第1ベンチ、第2ベンチとチェックポイントを通過していくが、しばらく続く樹林帯は景色も開けず体力を消耗する。

 この「合戦尾根」ルートは北アルプス三大急登としても知られており、危険な箇所こそないものの、ひたすら体力が削られていく。

 この苦しいポイントを抜けた先にあるのが「合戦小屋」だ。登山口からこの小屋まではおよそ4時間。急登を長い時間登り続けた登山者にとってオアシスだ。宿泊はできないが、ベンチの数も豊富で、山頂までのラストスパート前に一息つける。

 合戦小屋では、毎年6月~7月頃から、スイカをいただくことができる。値段は一切れで500円。登山道の、しかも北アルプスの道中で食べられるスイカは格別においしいのだ。