小さな生物を見つけて近づくと、ピョンと跳ねて逃げていく。そんな経験はないでしょうか? もしかしたら、それはハエトリグモかもしれません。顔つき、色彩、動き、動作など、どれも特徴的で親近感が湧いてきます。そんなハエトリグモの世界をのぞいてみましょう。

■こんな顔をした生物が身近にいるとは!

地球上の生物ではないようにも見えます。宇宙生物のようなこの大きな目が魅力の一つです

 クモといえば、網を張って獲物を待ち構えているというイメージがあって、ちょっと苦手だな、と思う方も少なくないのではないでしょうか。しかし、このハエトリグモは、網を張らずに、あちらこちらを歩いている放浪型のクモです。アウトドアで活発に行動されている読者の皆さんの中は、ハエトリグモに似た行動パターンをしている方がいらっしゃるかもしれません。

 一般的にクモの仲間は、8個の目をもっていますが、あまり目は良くないようです。そのため、網を張ってその揺れを感知して獲物を捕らえています。しかし、ハエトリグモは、2つの目が大きく発達しているため、歩いてエサを探しています。そのため、顔がかわいらしく見えるのだと思います。あくまでも個人の感想ですが。

この目で見つめられるとキュン死してしまうかも

 頭の上のぼさぼさした毛と真ん丸の目を見ていると、宇宙生物というより、チンパンジーなどのサルの赤ちゃんを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか? 想像が次から次へと湧いてくるので、とにかく見ていて飽きません。

■ハエトリグモを探すには

公園の手すりや柵がハエトリグモ探しには最適です

 ハエトリグモは、野外にも建物の中でも見つけることができますが、私の一番のおススメは、公園の手すりや柵です。他の昆虫類についても言えることですが、手すりなどは、生物の行動範囲が限定されるので観察しやすいのです。しかも、擬木のようなものではない、明るく塗られた鉄柵やガードレールのようなものの方が見つけやすいです。ハエトリグモは、多くが数ミリから1センチ程度くらい。色も茶・灰・黒などの地味な色のため、なるべく観察対象が目立つような場所がよいのです。

ダム湖の手すり。このような人工物の方がかえって見つけやすいのです
公園の案内表示板で見つけたハエトリグモ。手すりや看板を舐めるように見ているのは、他人から見たらかなり怪しいと思いますが、当の本人はワクワク感でいっぱいです