■レインウェアがない

耐水圧・透湿性を兼ね備えたレインウェアやアウターは必ず持ち歩く(撮影:山下直人)

 道迷いにより登山が長引き、遭難も頭をよぎる中、天気のことが気になり始めた。スマホで確認すると、日中は晴れだが、夜からは雨の予報。レインウェアを持って来ていないことに気づき、急に不安になった。
幸い、登山中に雨が降ることはなかったが、「レインウェアは三種の神器」という意味がよくわかった。

■ヘッドライトがない

万が一、夜になってしまったときに必須となるヘッドライト(撮影:山下直人)

 登山中に日が暮れることを全く想定していなかったが、少しずつその可能性が出てきた。ライトとして使用できるものがスマホしかないことに気づく。ヘッドライトは重さも容量もそれほどではないので、バックパックに入れておくべきだった。

 真っ暗な中、スマホも使用できずに山中に残ることを想像すると、さらに不安と焦りが募った。

■食料がなくなり、なお焦る

登山後に少し食料が余ってしまうくらいでちょうどいい(撮影:山下直人)

 2つ目の山に入り、行程の半分を残した時点で、バックパックの中の食料は空になっていた。持ってきていたのは昼食用のおにぎり2つ、行動食としてようかんを2つ、水は500mlのペットボトルが2本。食べ尽くしたのは、想定していたコースタイムを大幅に超えてしまったためだ。

 たとえ低山であっても、プラス1食分、そして水も余分に持参しておくべきだった。登山後に少し食料が余ってしまうくらいがちょうどいいのだ。

■休憩を取らなかったばかりに

登山後に少し食料が余ってしまうくらいでちょうどいい(撮影:山下直人)

 3つ目の山あたりからはわかりやすい道が現れ始めた。このまま下山できそうだ──。そう思ったとき、足のふくらはぎがつり始めた。しかも両足同時に。少しでも変な力を加えると、両足がつってしまう状態だ。

 その時になってやっと、休憩をほとんどとっていないことに気づいた。

 足をひきずりながら(足がつらない歩き方を模索しながら)歩き続け、ようやく下山できたのは、登山開始から6時間後だった。

 精神的に追い詰められていると、焦るあまり休憩を取らなくなる。これを防ぐために、ある程度計画的に、時間を決めてこまめに休憩すべきだった。

■基本ルールをしっかり守ればアクシデントにも対応できる

 登山の基本的なルールを守り、適切な装備を携行することで、アクシデントへの対応ができることはもちろん、登山中の不安も解消される。

 私の考える基本的なルールとは、主に下記のとおり。

・装備は、想定ルートタイムをオーバーしても問題がないように準備する
(レインウェア、ヘッドライト、多めの食料、モバイルバッテリーなど)
・肌に直接触れる部分は綿製品を避ける(アンダーウェア、靴下など)
・想定ルートタイムをオーバーしても焦らず、こまめに休憩する

 登山関連本などに共通して出てくるようなルールもしっかり守り、低山登山だからと油断した私のような目に遭わないようにしてほしい。