よく自然活動における指導者が“キャンパーズファースト”という言葉を使います。指導者立場でなくキャンパー、つまり実際に活動をする側の立場で考え企画や運営をおこなうことが大切である、という考え方です。実はこの考え方、家族の中でも大切なこと。子どもの立場で考える“子どもファースト”の思考が、失敗しないキーワードになるかもしれません。 

■“子どもファースト”の実践、低山ハイキングに行ってみよう!

 前回、デイキャンプでアウトドアデビューを果たしたパパ。次は少しステップアップを考え、低山でのハイキングを提案。しかし「山って、ずっと坂道でしょ、疲れるよね?」と6歳の兄、4歳の妹は「何して遊ぶの?  楽しい?」、デイキャンプの時よりもネガティブな子ども達の反応にとまどうパパ。

 そうなのです。キャンプと違って、ハイキングや登山は子どもにとっては決して楽しいイメージだけでないのが現実。苦しい坂道でも、その対価として手に入る美しい景色や展望、達成感に満足できる大人と違うのです。「山に行くなら目的は頂上を目指すこと」、これはあくまでも大人の考え方。「頂上に行くことを目的としない」を前提に“子どもファースト”な目的を立てることで、子どもの気持ちを「行きたい」に変えられるかもしれません。

●実践例1. 場所や目的、計画のヒントは日常の中に

 パパは早速“子どもファースト”なハイキングを計画するため、子ども達を観察してみました。兄(6歳)は「動物は勿論、鳥や昆虫など生き物全般に興味がある」、妹(4歳)は「コロナ禍で保育園行事が中止となっているため、まだ一度も自分のお弁当箱を使う機会がなくお弁当に憧れている」といった具合でした。

 パパは観察した様子を元に情報サイトや動画などで情報を集め、ハイキングの場所を埼玉県長瀞町にある宝登山に決定。東京から車で約2時間でアクセスでき、登り始めて1時間足らずで頂上に行けるルートで、かつロープウェイがあり、頂上に動物園があることや初心者でも安全な登山道であることが選択の決め手となりました。そして“子どもファースト”な目的は、兄は「山に住む動物を探そう」、妹は「はじめてのお弁当体験」としました。

埼玉県秩父郡長瀞町にある標高497mの宝登山(ほどさん)

●実践例2. 宝登山ハイキングへ

 秋が深まる日曜日の8:30に出発し、予定通り10:30に宝登山登山口近くの駐車場に到着。準備を済ませ、先ずは案内板の前で作戦会議を。

作戦会議は大事、子どもの自発的な行動が促されます。

 会議の結果、往路は登山道を歩いて復路はロープウェイと決定。頂上でお弁当を食べて、その後動物園を見学することに。全体のスケジュールを家族みんなが把握したところで出発です。

先頭に立つのは隊長役のパパ

 今回、お兄ちゃんの目的「山に住む動物を探そう」に沿った“遊び”として“カメラマンごっこ”を提案。用意したのは、デジタルカメラでなく“使い捨てカメラ”。

今回は「写ルンです」の27枚撮りを購入