秋田県能代市の七座山(ななくらさん、ななくらやま)は、7つのピークをもつ、なだらかな低山。藩政時代から保護されてきた山で、現在は国の風景林と県立自然公園に指定されており、樹齢300年を超える巨大な天然杉が立ち並ぶ原生林となっている。
低山ながら複数の登山道が整備されており、体力や目的に合わせて選ぶことが可能。1座だけ目指すのはもちろん、7座すべて縦走しても3時間半~4時間ほどで歩けるため、初心者や子連れ登山者でも気軽に楽しめる。標高は一番高い権現座(ごんげんくら)で287.4m、一番低い三本杉座(さんぼんすぎくら)で153.7mだ。
今回はそんな七座山の中でも、とくに気軽に登ることができ、展望台からの景色が楽しめる「蓑座(みのくら)」登山をレポートする。
なお、今回は登山口1と2の間にある10台ほどの駐車場を利用した。筆者が訪れたゴールデンウィーク中の午前10時ころにはすでに8台停まっていた。
■スタート直後、原生林の中を歩く
登山道に入ると、日本三大美林の一つとされる天然の秋田杉とブナなどの広葉樹が混じった明るい森が迎えてくれる。
この森の杉の高さは40〜45mほど。10〜15階建ての建物と同じくらいで、写真にはとてもおさまらない。森の中に立って上を見上げると、すっと伸びた杉の大きさに圧倒されながらも、途中、山神様(さんじんさま)という山仕事の神様が祀られた祠に手を合わせ、なだらかな坂を登っていく。
岩に根を張って大きく成長した杉は天然林ならではの姿で、樹木の生命力が感じられる。林床にはシダが生えており、恐竜でも出てきそうな、まさに「原生林」といった雰囲気だ。
■整備されていて安心な登山道
分岐ごとに設置されている道標は新しく、とてもわかりやすい。なお、オススメコースの途中にある東屋は壊れており、使用禁止となっている(令和5年6月現在)。
原生林の中を道標に従って蓑座の山頂に向かって進んでいくと、岸壁に尾根への階段が現れる。階段は最近整備されたようで安心して上ることができた。
階段を登りきって少し尾根を歩くと、展望台が見えてくる。蓑座の頂上だ。展望台も整備されたばかりのようで新しく、展望台からは米代川と二ツ井地域の町並みが見える。秋の黄金色の田んぼや紅葉も美しいだろう。
下山はつづら折りの登山道。途中ぬかるんでいる場所もあるので、しっかりと防水性のある登山靴で行くことをおすすめする。