■比較調査からわかったこと

 この調査から次のようなことが分かった。

 「裏地がメッシュのレインウェア」は蒸れがひどいので歩行中は汗がだらだらと流れ、衣服はびしょぬれになるうえに、レインウェア自体も汗で重くなった。

 「防水透湿性素材を用いたレインウェア」も蒸れて歩行中は暑かった。ただ、汗の一部が水蒸気となって出ていくので、速乾性のあるポリエステルのシャツを着ていた場合は、汗がレインウェアの外にかなり放出されたようだ。同じポリエステルのTシャツでも、「裏地がメッシュのレインウェア」を着ているときより、汗の増加量が約半分の重さだった。

 今回は平地で屋内の調査だったので、実際に使用する場所とは条件が異なる。しかし、

①「防水透湿性素材を用いたレインウェア」も蒸れる

②「防水透湿性素材を用いたレインウェア」の中に「綿・コットンの衣服」を着ると衣服はびしょぬれになる

③「防水透湿性素材を用いたレインウェア」は、「速乾性のある衣服」と組み合わせることで透湿性能が発揮される

ということは山でも同様であろう。

 しかも山では稜線などで風にさらされ、ぬれた衣服を着続けると体温が奪われる。

 ゴアテックスなどの「透湿性能がとても高いレインウェア」はさらに蒸れが少ないであろうが、中に着る衣服の選択も重要だ。最低限綿・コットンの入っていないシャツの着用を、できるなら「肌をドライに保つベースレイヤー」の着用が望ましい。

 登山初心者が登山用品をそろえる際に後回しにされがちな「雨対策」であるが、衣服がびしょぬれにならないというのはとても大切なポイントだ。10,000g/m2・24hrsくらいの防水透湿性素材を用いたレインウェアは比較的低予算でそろえることができるので、必須のアイテムとして用意してほしい。