■実際に歩いて、比較してみた

 以上のことは、筆者自身もこれまでの体験で身に染みて実感しているのだが、レインウェアの透湿性と中に着る服の素材により、どのような違いがあるかを調査した。いずれも、「同一日、家の中で階段の上り下りを含む2000歩」という同じ条件で 行い、かいた汗を吸収することによるシャツの重さの変化を計量した。レインウェアは「ホームセンターで購入した裏地にメッシュが貼ってあるレインウェア」と「コロンビアのオムニテックのレインウェア」でいずれも上衣のみ。レインパンツはどちらもモンベルのストームクルーザー。中のシャツは綿・コットンとポリエステルの半袖Tシャツで、衣料品店で購入したもの。

 「ホームセンターで購入した裏地にメッシュが貼ってあるレインウェア」は、防水透湿性素材ではなく、裏にメッシュが貼ってあることで「蒸れにくい」とアピールしている製品である。以下、「裏地がメッシュのレインウェア」と表記する。

 「コロンビアのオムニテックのレインウェア」は、筆者が日ごろ愛用しているもので、蒸れを感じることも、汗冷えを経験したこともない。耐水圧や透湿性の数値は公開されていないが、「外部からの水の侵入を防ぎ、なおかつ激しい運動による蒸れを最小限に抑える透湿性を発揮」すると公式HPに記載があるので、今回の実験では「防水透湿性素材を用いたレインウェア」として扱わせていただく。

比較に用いた2枚のレインウェア。左が「裏地がメッシュのレインウェア」、右が「防水透湿性素材を用いたレインウェア」(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

結果は以下の通り。

●裏地がメッシュのレインウェア+綿・コットン100%のシャツ

 シャツの重さ:35g増加

 レインウェアの裏地のメッシュが肌にべたつき、不快だった。蒸れを強く感じた。

背中のバックパックが当たる部分が最も汗をかいている(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

●裏地がメッシュのレインウェア+ポリエステル100%のシャツ

 シャツの重さ:32g増加
 裏地のメッシュが肌にべたつき、不快だった。蒸れを強く感じた。

全体的に汗でぬれている。裏地がメッシュのレインウェアの場合は、綿・コットンもポリエステルもびしょぬれだ(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

●防水透湿性素材を用いたレインウェア+綿・コットン100%のシャツ

 シャツの重さ:27g増加
 2.5レイヤーなので、素肌が触れる部分が不快。透湿性のないレインウェアに比べて、蒸れはやや少ない。

裏地がメッシュのレインウェアより少ないが、バックパックが当たる部分が汗でぬれている(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)

●防水透湿性素材を用いたレインウェア+ポリエステル100%のシャツ

 シャツの重さ:17g増加
 2.5レイヤーなので、素肌が触れる部分が不快。透湿性のないレインウェアに比べて、蒸れはやや少ない。

防水透湿性素材を用いたレインウェアの中のポリエステルのシャツも、バックパックが当たる部分が汗でぬれている。汗でぬれたシャツを手に持った時に、とても軽く感じた(撮影:BRAVO MOUNTAIN編集部)