■オリンピック選手、橋本通代が次世代を世界と繋ぐ
大会の主催者はソルトレークオリンピック・スノーボードハーフパイプ代表の橋本通代さん。当時“世界一高く飛ぶ選手”と賞賛されていました。オリンピック出場の翌年からスノーボードを教材に子どもたちを育てるKIRARA KAMPを始めました。上達に重きを置かず、子どもたちに一生懸命取り組むことの素晴らしさを伝えることが大切だと考えたのです。
INDY PARK JAM(以下、IPJ)はKIRARA KAMPの発表会の延長として開催されました。キッズの日頃の練習の成果を発表する場所がなかった当時、子どもたちが主役になれる大会を行ったところ、反響があったのです。開催を重ねるうちにキッズのレベルも上がり、たくさんの方の協力を経て「世界とつながる大会」に成長していったのです。
橋本さんはこう語ります。
「私自身、スノーボードで世界が繋がって、オリンピックに出場させていただきました。この経験を次の世代に伝えていきたい、と思っていたらいろんな方が協力して背中を押してくれたんです」
「今回の大会では株式会社ユークリッド・エージェンシー様の協賛を得ることができました。多くのアーティストを抱える芸能事務所です。一見接点がなさそうだけど、スポーツもエンターテイメントも人々に勇気や感動を与えるという点で共通点が多いと、石森社長に共感していただけました」
世界に羽ばたくキッズたちを応援したい、ということで一つの課題だった優勝者には遠征費用のサポートをお願いすることに。結果として、IPJの世界大会であるWORLD ROOKIE FINALの出場権、優勝特典としてオーストリアまでの往復航空券(約48万円/1名)を4名分ご協賛いただきました。
私自身、競技に出場していたときは大会に出場するための遠征費用を工面することが悩みのひとつでした。キッズを支える親の負担は大きく、とても価値のある協賛となったことでしょう。
■スノーボードが人を育てる!
大会と聞くと多くの方はピリピリとした緊張感のある雰囲気を想像するかもしれません。しかしスノーボードの場合は、大会会場では音楽が鳴り、選手も観客も楽しめるようになっています。選手同士がお互いの健闘を讃えるグーパンチが行われたり、ウェイティングを盛り上げるようなダンスを行う選手もいたりと和やかです。大会スタッフには過去に大会出場していた先輩スノーボーダーが協力しており、選手たちがいつも通りのパフォーマンスができるように配慮しているとも感じられました。
結果が出るまでの間、キッズがこれから直面するであろう「問題」を考えるワークも行われました。温暖化はスノーボーダーにとっては深刻な問題です。経済の発展とともに世界の年平均気温が上昇していることは事実です。環境に対して自分はどのようなことができるのか。という実行可能なエコアクションを考えてホワイトボードに発表する機会があるのもIPJならではだと感じました。
IPJでは大会での勝ち負けだけでなく、ユニークな賞もありました。発表されたエコアクションから選ばれたSDGs賞や「挨拶が気持ちよかった」などの大会中の選手の振る舞いを讃える賞もあったのです。
主催の橋本さんが、スノーボードを通じて成長し、上手い下手を一番の目的とせず、キラキラ輝く子どもたちを応援したいという思いが反映されているからでしょう。大会終了後の選手たちもお互いの健闘を讃えるように笑顔が見られていました。スノーボードを教材に教育を、という意味がわかったような気がします。