■キャンプ場づくりのきっかけは、ヒノキ林の再生

土嚢が積み上げられている入口(撮影:ヒラマツアユコ)
自由に使える薪。その代わり利用者は次の人のために薪割りをするルールだ(撮影:ヒラマツアユコ)

 「ずっと放置していたので、ヒノキ林は荒れてしまって。そんな状況を改めて目にして、いろいろな思い出が蘇りました。家族みんなでみかんの収穫のために集まったり、休憩時間にごはんを食べたり、焚き火をしたり。そんな昔を懐かしく思い出しているうちに、このままヒノキ林を放置しておくのはもったいないと感じはじめたのです」(小川さん) 

 小川さんは30代でキャンプに出会い、家族や仲間と一緒にキャンプライフを楽しんでいた。当時は「キャンプはキャンプ場でするもの」と思っていたという。

 しかし、キャンプ仲間が増えるにつれ「野営」や「ブッシュクラフト」など、自然の中のフィールドでキャンプをしている人が一定数いることに気づいた。

 「ここをキャンプ場にしたら、使ってくれる人がいるかもしれない」そう考えた小川さんは、思い切ってキャンプ場づくりの協力者をSNSで募集したのだった。

■キャンプ好きが集まり、キャンプ場づくりがスタート

みかんの貯蔵用に使用していた杉箱をバラして「土留め」として再利用(撮影:ヒラマツアユコ)
手作りの焼却炉。リオレは山にあるものを活用してつくられている(撮影:ヒラマツアユコ)

 小川さんが呼びかけたのは、Facebookのソロキャンプグループ。

 「ソロキャンプグループを選んだのは、ソロでキャンプをするくらいなので、キャンプ好きなのはもちろんのこと、知識に長け、マナーも心得ている人たちが多いと思ったからです。そして、もっとも気がかりであった火の始末」という点でも、ソロキャンパーの方たちに対しては安心感がありました」

 その呼びかけに応えてくれた人はおよそ5人。2021年1月からキャンプ場づくりを開始して、頼れる仲間たちとともに「リオレの森」を築き上げていった。