●どこまで行けるか力試し「霊山寺(りょうぜんじ)」

 弘法大師が密教の阿字五転(発心・修行・菩提・涅槃・利他)の法則に従って、四国の東北の角・鳴門市を発心点(出発点)の1番札所としたことで知名度の高い「霊山寺」は、観光バスも多く訪れる人気の寺だ。

 お遍路を繋いで参拝する「通し打ち」の時は、この寺からスタートする人が多い。

1番寺「霊山寺」の入り口(撮影:坪井 千晶)

 ここで、お遍路の少し違う楽しみ方を紹介したい。1日でどこまで進めるかによって「健脚」であるか試すのだ。

 お寺で参拝できる時間は、7時から17時でその時間以外は納経などは、行われていない。この時間制限の中で、1番札所から何番目までいけるかチャレンジしてみる。一般的には、7番寺「十楽寺」までたどり着けば健脚と言われる。

7番寺「十楽寺」までたどり着けば「健脚」と言われている(撮影:坪井 千晶)

 1番から7番までの寺は間隔が狭いが、トータル約17.5kmの道のり。決して短い道のりではないが、途中参拝や食事休憩を挟みながらでも「健脚」であればたどり着けるはず。

 また、7番寺には宿坊があるため、通し打ちを予定している方は、ここに1泊してもよいだろう。

弘法大師様が歩いた道をたどれる「へんろ道」(撮影:坪井 千晶)

 しかし、そこで止まらずさらに進むのもおもしろい。山は登るが、ジョギングなど走る運動はしていない筆者が1日に進める限界を探して、1番寺から走ってみたところ10番寺「切幡寺(きりはたじ)」まで行けた。

 距離で示すと約28kmで、フルマラソンの大会に出る方にとっては大した距離ではないと感じるかもしれないが、各お寺で参拝のたびに足を止めるため、再開すると走り始めが苦しくスピードが乗りにくい。

 途中足場の悪い遍路道や山道もあり、なかなか思うように進めなかった。次回は11番寺までの走破にチャレンジしたい。

333段の階段を登って到着した10番寺「切幡寺」(撮影:坪井 千晶)

 この脚力を試すお寺の巡り方だが、帰りの交通手段には注意してほしい。10番寺の最寄り駅は9km離れており、周辺にはタクシーも滅多に通らない。帰りは駅まで歩く体力を残しておこう。また、電車は1時間に1本程度しかないため、その辺の時間も考慮して進むようにしよう。

【アクセス情報】

・住所/鳴門市大麻町板東東塚鼻126
・電話/088-689-1111
・電車/JR高徳線「板東駅」から徒歩10分
・バス/高速バス「鳴門西バス停」から徒歩15分 徳島バス「霊山寺前」下車すぐ
・車/高松自動車道 板東ICから約5分 駐車場100台

・URL/https://88shikokuhenro.jp/01ryozenji/

■お遍路の楽しみ方は十人十色

 お遍路のお寺はどこも参拝客をもてなす工夫がされている。アウトドアレジャーとしての楽しみもあれば登山や、フォトジェニックなスポット、それぞれのお寺の歴史を感じるのもまたひとつの楽しみ方。

 今回紹介したお寺以外にも魅力的なお寺は多いので、一度足を運んでみては。