■バックカントリーを楽しむために、心がける大切な意識

バックカントリーは危険と隣り合わせ。知識、技術のある人を中心に、必ず複数人数で(撮影:森田大輔)

●スキー場を一歩出れば、そこは自己責任の世界

 スキー場管理エリアは徹底した安全管理対策が施され開放されているが、ロープの外は手つかずの雪山。雪崩、遭難、滑落などさまざまなリスクが伴うため、パウダースノーの誘惑に負け、簡単に越えていい境界線ではないことを今一度認識する必要がある。

 バックカントリーで楽しむには、決められたスキー場出口を必ず利用するなど、ルールを厳守しなければならない。そのうえで、スキーヤーやスノーボーダーには知識、装備、技術、経験などさまざまなスキルが求められる。

●単独行動は避け、装備、知識を準備する

装備と知識を準備して、技術レベルに応じた斜面で楽しもう

 どんなに上級者であっても、バックカントリーでの単独行動は避ける(ただし、人数が多ければよいというものでもない)。万が一なにかあったときに同行者がいれば救出作業、もしくは関係各所への連絡が迅速に行えるためだ。

 今更確認することでもないが、気象予報の確認はもちろんのこと、ビーコン、プローブ、スコップを基本とした、自分の身、一緒に行く仲間の身を守るための装備も必ず準備しよう。準備するだけでなく、ギアの使用方法、ビーコンの電池残量の確認も重要。実際に雪山で使用できてはじめて意味がある。

 また、忘れてならないのが知識。バックカントリーでは雪崩に対してだけでなく、地形を理解していないことによる「道迷い」「立ち木への衝突」など、さまざまな場面を想定した知識を身に付けておく必要がある。

 「管理区域外に出た瞬間から冬山のリスクに晒される」。自然という舞台で遊ばせてもらう者としての心構えは決して忘れてはならない。

■雪に頭から埋まったスノーボーダー 奇跡の救出

 2023年4月3日、北海道の赤井川村山中で、足にスノーボードをつけたままの遺体が発見された。のちに2月15日にキロロ山頂までリフトを使用し、その後に行方不明届けが出されていた女性と判明し、死因は窒息死であった。現場付近に雪崩の痕跡は見られず、転倒したのち顔が雪に埋まるなどした可能性があるとみられている。女性は上級者だったようだが、やはり単独行動はリスクが高いことが証明される結果となってしまった。

 一方で、アメリカのバックカントリーで撮影された頭から雪に埋もれたスノーボーダーの救出劇が話題になった。動画にはたまたま通りかかったスキーヤーが、足だけ出ているスノーボーダーを一心不乱に掘りおこす一部始終が収められている。結果的にこのスノーボーダーは助かり、九死に一生を得た形となった。

 赤井川村で起きた事故と状況が似ていると推測されるが、ここからわかるのは発見が早ければ、助かる可能性は十分にあるということ。

 どんなに完璧に対策をしても、事故にあう可能性を0にできないのが、自然の中で楽しむバックカントリー。それでも「単独行動は避ける」「技術レベルにあった斜面を選ぶ」など、その可能性を限りなく0に近づけるために自分にできることを考えながら、最高の雪質「JAPOW」をこれからも堪能してほしい。