2023年2月26日~3月5日、スペインでSKIMOの世界選手権大会が開催され、日本を含む過去最多の27ヵ国が参加した。2026年イタリアオリンピックの新種目となる2種目を含めた、全6種目が競われた。
“チームジャパン”の一員として競技に参加した筆者・藤川健が、競技の様子や世界のトップ選手と注目の日本選手についてレポートする。
■ピレネー山脈のスキーリゾートで開催されたSKIMO世界選手権大会
SKIMO(スキーモ)とは、山の中でスキーを使って長距離移動の速さを競う山岳スキー競技。Ski Mountaineeringの略。ヨーロッパアルプス国境警備隊の訓練の一環として始まったと言われている。クロスカントリースキー的なスピーディーな動きで山を登り、アルペンスキーやフリーライドスキー的な技術を駆使して山を滑り降りる、総合的な要素を含んだスキー競技だ。
ピレネー山脈にある「ボイ・タウイリゾート」。大会会場にはヨーロッパを中心に世界各国から約300名のアスリートが集い、世界最速の山岳競技でその力を競った。
今シーズン雪不足に悩まされているヨーロッパではあるが、まったく雪が降らないわけではない。もともと標高の高い山岳エリアで大会が開催されるSKIMO。少ない雪ながらも標高2,000m以上の高地で行われるので、競技を行うには十分な積雪に恵まれていた。また、大会期間中は連日晴天に恵まれ、条件の整った中で各国のトップ選手達がその実力を存分に発揮した大会となった。
■競技は全部で6種目「実はオリンピック種目以外の種目が熱い!」
今回の世界選手権大会の種目は全部で6種目。スプリント、バーチカル、チームレース、インディビジュアル(※)、ミックスリレーの順に競技が行われた。
※ 標高の高い広大な山岳エリア(スキー場の外)で行われる、SKIMO本来の醍醐味が溢れる競技。
このうち、スプリントとミックスリレーが「2026年ミラノ・コルティナオリンピック」に新種目として追加されたことでSKIMOの認知度は一気に高まっている。ただ、元来SKIMOはインディビジュアルが主体で、そこから派生して他の種目が行われるようになった経緯がある。
いわば、スプリントやミックスリレーはオリンピックの為に作られたPR種目であり、SKIMOの世界ではインディビジュアル競技のほうが注目度は高い。今回の世界選手権ではオリンピック種目とそれ以外の種目に対する、各国の考え方や強化方針などが顕著に表れる面白い大会でもあった。