■謎多き「与那国島海底地形」

 1986年にダイバーによって発見された海底の地形。東西約50m、南北約150m、高さ約25mの大きな岩礁だが、形状が摩訶不思議。まるでテラスや階段、排水路のような溝に見える構造などが確認できる。

 これらを人がつくったとする説を「古代遺跡説」としている。だが、今でも形を留めていることから、波で侵食されない頑丈な岩でつくったとすると、当時の人間の技術では到底加工できない。

 人の手でつくり出した物とは考えにくく、たまたまそう見えるだけの「自然地形説」とする見方もある。調査の結果、少なくとも1万年ほど前は陸上にあったことがわかっている。

 古代遺跡なのか、自然の地形なのか……。解明されておらず、謎は深まるばかりだ。

「与那国島海底地形」の「二枚岩」と呼ばれる場所(撮影:新井夏海)

■「与那国島海底地形」を実際に見てみた

 筆者はスキューバダイビングで実際に見にいってみた。完全に自論だが、似たような地形は陸上には見当たらず、陸上の地形がそのまま海に沈んだとは思えなかった。やはり、人間がつくり出した物なのか……。そう思っていたほうがロマンもある!

 第一印象は、大きなお城が海に沈んでいるかのようだった。国内外のさまざまな海に潜ってきたが、ここには神聖な雰囲気が漂っていた。

 まずは「城門」と呼ばれる入口を通り抜ける。ダイバー1人が通り抜けられる程度の小さな穴で、敵の侵入を防ぐためのサイズだったのだろうか。

 次に現れるのが「二枚岩」。そのまま一番の人気スポット「メインテラス」へと続く。広々とした真っ平らな空間が広がっている。横には階段のようなものがあるが、それにしては一段が高すぎる。

 どこの場所にも、人々の生活の痕跡を見たような気がした。

「与那国島海底地形」の「カメのモニュメント」と呼ばれる場所(撮影:新井夏海)
「与那国島海底地形」の「メインテラス」と呼ばれる場所(撮影:新井夏海)