■マッサマンカレーに出会うまで
夕食はカレーライスと決めたものの、じつはどんなカレーにするかは全然思いついていなかった私。インドカレーやタイカレーなどスパイスの効いたカレーが結構好きだということもあり、「タイカレーなんてどうだろう!」と突然閃いた。サラサラと食べられるし、小麦粉を使わずに作れるからアレルギーの方にも対応することができるだろう。だけど、あの辛さがな〜。そんな時、出会ったのが「マッサマンカレー」であった。
マッサマンカレーとは、じゃがいもと鶏肉をホロホロに煮込んだココナッツミルクの甘みとスパイシーな辛さが同居するタイ南部のカレーのこと。縦走中に毎食カレーを食べている人がいたとしても、さすがにマッサマンカレーを食べている人はなかなかいないに違いない。
ココナッツミルクが辛さを抑えてマイルドに仕上げてくれるから、お腹を壊す心配がないのがいい。さらに、スパイシーだから体があったまるし、疲労回復にも良いのでは、と考えた。ココナッツミルクは免疫力をアップさせ(ついでに脂肪燃焼効果も抜群らしい)、しかも抗菌作用まであるから、このコロナ禍において最高の食材といえよう。コロナに負けるな、マッサマン、である。
■山小屋向きなカレーにアレンジするぞ!
そうと決まれば、あとは突き進むのみ。ちなみに、「マッサマン」とは、タイ語で「イスラム教の」という意味。宗教上の理由から、豚肉を食べない代わりに鶏肉を使っているとのこと。本来は、鶏肉が入っているのだが、登山者の中にはお肉が苦手な人もいるだろうから、カレーの中には入れずに後添えにし、お肉の代わりにエビを入れて出汁をとることにした。
懸念は、ココナッツミルクが苦手な人って結構多そうだということ。光岳に登ってくる宿泊者は年配の方が圧倒的に多いので、ちょっと心配。そこでココナッツミルクは抑えめにして、生姜やニンニク、玉ねぎなどを入れて、全体をさらにマイルドに仕上げてみた。
うーん、それでも何かがもの足りない気がする……。