2月も下旬に入り暖かい日も増えましたが、信州ではまだまだ厳しい寒さが続いています。その分、冷え込んだからこそ見ることができる美しい雪景色、絶景が目を楽しませてくれることがあります。

 2月22日。長野県北部の上信越高原国立公園にある「志賀高原 焼額山スキー場」では、早朝からまさに冬の絶景のオンパレードとなっていました。20日の夕方から降り始めた雪は、翌21日も途切れることなく1日中降り続けていました。冷え込みも厳しいだけに、軽い雪が舞うように降り積もっていきます。

 翌朝は天気予報通り、日の出前に雪が止みました。スキー場の東側、岩菅山の稜線にはまとわりつくように雲がかかっていましたが、その隙間から朝日がゆっくりと差し込んできます。第一ゴンドラに乗り込むと徐々にあたりが明るくなってきました。搬機の凍てつく窓の向こう、山全体が白銀に輝いているのがわかります。山頂駅の標高は約2,000m、朝イチの気温はマイナス14℃でした。果たして、駅舎から外に出ると寒さを忘れさせるほどの絶景が迎えてくれました。

 丸1日以上降り続けた雪が作り出す、眩いばかりの白い世界。澄み渡った青空の下、樹氷に霧氷、周囲の樹々は真っ白に化粧しています。空気中の水分が凍り、ダイヤモンドダストがちらつき、雲間からはうっすらですがサンピラー(太陽柱)も確認できました。第2ゴンドラのある西側には、雲海の上に北アルプスのパノラマが広がっています。槍ヶ岳もくっきりと見えていました。どこを見ても絶景が目に入り、何を撮っても絵になります。

 せっかくの朝イチのゲレンデです。普段ならスキーやスノーボードを履き、急かされるように滑り出すのですが、周りの人々もあまりの絶景の連続に周囲の景色に見惚れ、スマホで写真や動画の撮影に夢中になっている様子です。

 もちろん滑走も最高のフィーリングでした。丁寧に圧雪されたコース。その雪面は滑りやすい柔らかさでスキーが上達したように錯覚していまいます。場所によっては圧雪後に10cmほど降り積もった上質のパウダースノーが覆っていて、滑ると足裏をくすぐるように流れていきました。

 今週末は再び雪が降りそうです。三寒四温を繰り返しながら、季節は春へと着実に向かっています。冬の雪景色を楽しめるもあとわずかになりそうですね。