「長野電鉄」は、長野県の長野~湯田中間(33.2km)を走る地方鉄道だ。湯田中温泉、渋温泉や志賀高原の開発にも力を入れ、スキーブームの先鞭ともなった。2020年(令和2年)5月30日にはその前身となる河東鉄道として創立されてから100周年を迎えた。車窓からは北信五岳など美しい山々を見ることができる。
2月20日に発売された「漫画アクション3/7号」の『新・駅弁ひとり旅~撮り鉄・菜々編~』(監修/櫻井寛 作画/はやせ淳)第34話の舞台となっている。そこで漫画の主人公が長野から湯田中まで乗車した人気の観光列車「北信濃ワインバレー列車 ゆけむり」を中心に写真で紹介してみたい。
■長野駅から湯田中駅へ
主人公は鉄道カメラマンを目指し、駅弁ライターとして活動する白鳥菜々。軽井沢駅から、しなの鉄道「ろくもん」に乗って信州の山河と美味を満喫し、長野駅に到着した菜々とママ。続いては、JR長野駅前の地下駅から発車する長野電鉄の特急に乗り換えて湯田中へ向かうところからはじまる。
長野電鉄長野駅「北信濃ワインバレー列車ゆけむり」号 13:08発
乗車した3号車は「北信濃ワインバレー列車〜のんびり号〜」といい、赤白4種類の長野県産ワインの飲み放題サービスがある。赤は、たかやしろファームの「カベルネソーヴィ二ヨン&メルロー」と楠ワイナリーの「楠R」。白は、たかやしろファームの「ソーヴィ二ヨンブラン」と、楠ワイナリーの「ソーヴィ二ヨンブラン」。
ワインの美味しさは、ぶどうで決まると言われているが、長野県はぶどうの栽培に適した自然条件を備え、ワイン用ぶどうの生産量は山梨県と一二を競っている。千曲川を渡り、須坂駅を過ぎると、小布施駅にかけてぶどう畑が広がっている。
■長野電鉄「ゆけむり」号は元小田急ロマンスカー
「北信濃ワインバレー列車」に使用される車両は、小田急電鉄で1987年から2012年まで活躍した4代目のロマンスカー10000形HiSE(ハイエスイー)。全席が通路より一段高いハイデッキ構造のためHiSEと命名された。ちなみに、初代はSE(スーパーエクスプレス)、二代目NSE(ニューSE)、三代目LSE(ラグジュアリーSE)で、現在は九代目のGSE(グレイスフルSE)。HiSEは小田急時代は11両連接だったが、長野電鉄に譲渡される際に、4両連接に改造された。長野電鉄では1000系、特急「ゆけむり」となった。