北陸地方では12月頃になると、庭園や公園の木々に「雪吊り」を施す。「雪吊り」とは、降雪から樹木を守るために、柱や縄を使って木を補強する伝統技法。金沢の「兼六園」をはじめ、北陸地方の冬の風物詩となっている。
一方、都立庭園の「浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)」にも、時を同じくして「雪吊り」が出現。北陸テイストな景観が楽しめる貴重な時期となる。
今回はそんな浜離宮恩賜庭園を散策し、「雪吊り」をはじめとする冬シーズンの見どころを紹介する。
■都会のオアシス「浜離宮恩賜庭園」
国の特別名勝及び、特別史跡に指定されている庭園「浜離宮恩賜庭園」。都営大江戸線「汐留駅」「築地市場駅」、ゆりかもめ「汐留駅」、JR・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋駅」、JR「浜松町駅」、いずれの駅からも徒歩10〜15分程度でアクセスできる。
もともと徳川将軍家が所有する大名庭園だった浜離宮恩賜庭園。当時の趣を感じさせる「御茶室」や「鴨場(かもば)」(鷹狩のための施設)、また都内唯一の海水の池となった「潮入の池」など、豊かな自然と歴史的景観に触れられる場所だ。
■冬の浜離宮恩賜庭園の冬の見どころ1「雪吊り」
12月〜2月にかけて現れる「雪吊り」。浜離宮恩賜庭園が誇る、都内唯一の海水の池「潮入の池」のほとりの松でその姿を拝める。
降雪から樹木を守ることが目的の「雪吊り」。都内のような降雪被害の心配があまりない地域では、美しい冬景色を作り上げ、来園者をもてなすための装飾として施されているようだ。
庭園の粋なはからいを、しっかり目に焼き付けたい。
■浜離宮恩賜庭園の冬の見どころ2「霜よけ」
「雪吊り」とよく似たものに、「霜よけ」という技法がある。暖かい地域で育つ植物を、冬の寒さから守るためにワラで覆うもので、主に「ソテツ」に施される。
「霜よけ」も冬景色を盛り上げる装飾の一面があり、浜離宮恩賜庭園では「大手門口」の近くで展示されている。そのユニークな姿は一見の価値ありだ。