■安全登山を手助けするのも山小屋の仕事
宿泊する登山者の皆さんには、15時までの到着をお願いしている。午後になると、山は夕立や雷の発生する確率が高くなるからだ。
さらに当たり前のことだが、日が暮れる。もともと17時に到着する計画だと、万が一何かがあったとき、夜はすぐそこ。遭難のリスクが高まる。だから15時までに到着する計画を立てることは大切だ。前任者の原田さんも、15時までの到着をお願いしていた。
あとは夕食を作る側からすると、15時を目処にお米の量の計算をする。まだ到着されてない方がいても、予約通りに夕飯を食べることを見込んで用意をする。シーズン中、何件かあった急なキャンセルや、連絡なしのキャンセルには頭を抱えた。
未着の方には、16時を過ぎた段階で着信を入れる。安否が心配なのが一番の理由だが、本当に山にきているのかを確認する意味もある。目撃情報があれば、ただじっと待つ。
■ハプニングが盛り沢山
ある日、1泊2食で予約していた大人数のグループが到着しない出来事があった。他の登山者の方に聞いても見ていないという。心配になって電話をしてみたところ、「入院をしてしまい、仲間がキャンセルの連絡していると思い込んでいた」と言う。2022年シーズンの光岳小屋の定員は14人としていたから、急遽半分ほどが空いてしまった……。まあ、体調不良でこられなくなるのは仕方がないが、連絡はしていただきたい。
さあ、17時。夕食だ。試行錯誤してアレンジしたマッサマンカレー(タイカレー)を出す。
夕食後はバータイム。静岡、長野のお酒を枡酒で。コロナの影響とスタッフの負担を考慮して(シーズン序盤にスタッフが感染して一週間ほど休業を余儀なくされた)、途中からは100名山達成者のいる日のみ、お祝いバーとして開店することにした。