今回紹介するのは、山梨県甲府市にある「湯村山(ゆむらやま)」。標高はわずか446mの低山で、登山口から頂上まで30〜40分で登ることができ、初心者にもおすすめだ。
湯村山は、来年1月から始まる大河ドラマ『どうする家康』で阿部寛が演じる、武田信玄とも関係が深い。信玄の父、武田信虎は自身の統治を強固なものにするため、湯村山に城を築き、甲府盆地一帯を見渡して、情報収集を行っていたと言われている。
歴史を感じながら登ることができる湯村山の魅力、山頂までの道のりを紹介する。
■「烽火台(のろしだい)」を目指して登っていく
筆者が湯村山登山を行ったのは11月後半。紅葉も終わりを迎える季節で、道路は落ち葉で埋め尽くされていた。緑ヶ丘スポーツ公園を抜けた先に県営の駐車場があり、車を停めて登山口まで歩く。
駐車場から3分ほど歩くと登山口があり、車が入れないように柵が設置されている。今回は、今年10月に再建された烽火台を経由し富士山が見える絶景スポット、湯村山山頂を目指すルートを選択した。
今回数人のトレイルランナーとすれ違った。湯村山はトレイルランニングの練習として利用する人も多く、適度な標高、整備された道と山道がバランスよくあることから、多様なコースで練習ができるそうだ。
登山口から5分ほど歩くと、狼煙台の看板が出てくる。まずは烽火台を目指すため、コンクリートの道を逸れ、山道へと進んでいく。
山道といっても多くの人の往来で、獣道ができ上がっており、進行方向はわかりやすかった。こういった点も、湯村山登山が初心者におすすめできるポイントだ。
看板から10分ほど進んだ先に、大きな鉄塔が見える。鉄塔の右脇を通過していくと、烽火台へと向かう方向だ。
鉄塔からさらに10分ほど、山道とコンクリートの道を進んだ先に、烽火台がある。
2012年に老朽化のためやむをえず解体した烽火台は、今年10月にクラウドファンディングで集めた資金を活用し再建された。なお、クラウドファンディングでは、目標金額200万円の5倍以上、1134万円が集まった。
完成したばかりとあって、ほのかにヒノキの匂いがした。烽火台は全長6m、写真で見る以上に迫力を感じる。
戦国時代には、馬よりも早い情報伝達手段として活用された烽火台。歴史的な背景も学びながら見てみると、先人の工夫が伺える。