■アウトドアアクティビティのためのフィールドが無限にある

ルート取り次第でいろいろな楽しみが設定できる

 宿泊地に選んだ百間山渓谷キャンプ村(2022年にリニューアルオープンしたばかりのキャンプ村。営業期間は5〜10月末)に至る県道37号日置川大塔線は、車1.5台分くらいの狭いところもあるため、大きな車で通るとストレスになる。しかし、自転車ならそんなストレスは皆無である。

宿泊地に選んだ「百間山渓谷キャンプ村」。テント泊もコテージ泊も可能

 今回は、自転車をレンタルした秋津野ガルテンがスタートとゴール地点。まずは、扇ヶ浜海水浴場へと一旦下って、海を眺めて早めのランチを楽しみ、国道311号を経由して宿泊地に選んだ「百間山渓谷キャンプ村」を目指す。片道で42kmくらいのライド。田辺の雄大な自然と熊野古道の趣も感じられる贅沢なルートだ。

特に山中は車が少なく、気持ちの良い道が続く
ちらりと見える川面が美しい

 キャンプ村に至る県道37号日置川大塔線を抜けると、日置川から熊野川(いやがわ)沿いの静かな道へ。木陰に入ると急に空気が澄んで、ヒンヤリ。自転車の上りで火照った身体もクールダウンできて心地いい。キャンプ場に自転車を置いたら、すぐそばの百間山渓谷へハイキングに足を延ばすのもオススメで、岩の中を梯子で登ったり、雨乞いの滝、犬落ちの滝を眺めたりでき、まるでアマゾンを探検しているかのよう。     

百間山渓谷をハイキング。犬落ちの滝を眺める
渓谷にはこんな大木も

 注意点としては、ガードレールが少ないこと。ときどき眼下に透明度抜群の川が見えたり、下のワインディングはモーターサイクルと同じくらい気持ちがいい反面、スピードを出し過ぎないよう注意したい。

 ヒルクライムが好きな人なら、翌日は熊野川(いやがわ)トンネルを越えて、安川渓谷まで抜ける峠道にチャレンジしたい。激登りが続くが山深いルートを堪能できる。携帯の電波が届かないところもあるほどだ。

登りが好きな方は峠越えルートにチャレンジしてみよう

 うってかわって、麓の秋津野ガルテン周辺はのどかな里山に見渡す限りのみかん農園が広がっていて、柑橘類の香りに包まれる中のライドは格別だ。

日置川でパックラフト 。短い距離ながら雄大な自然が広がっていた

 空港、海、川、山、キャンプ場、渓谷、温泉などが近いところに全てが収まっているのは、田辺ならでは。自転車だけでなく、いろいろなアウトドアアクティビティを組み合わせれば、遊び方も無限大である。

キャンプの夜は地元食材の贅沢BBQを楽しんだ
キャンプ飯は熊野牛の炭火焼き。絶品!

 帰りは産直スーパーで梅干し、ほうじ茶、みかんジャムなど、お土産をたくさん買い込んでしまい、荷物がパンパンになってしまった。美味しいものが多すぎるのも考えものだ。

 田辺市は12月上旬まで紅葉が見頃が続く。関東近県よりやや遅いため、今からでも紅葉狩りを兼ねたアウトドア旅を計画できるのは、非常に魅力的だ。

 海、川、山を眺めながら信仰の道をたどる「田辺の自転車旅」をぜひ体験してもらいたい。

富田川沿いまで戻ってくると海が近くなっていく雰囲気が出る