■快晴のニペドン【登山レポート】

 まだ薄暗い4時30分頃、幌加温泉登山口を出発。長らく廃道と化していたというが、1ルートしかないためしっかり整備され、歩きやすい。よく言えば長いウォーミングアップがとれるともいえるのだが、しばらくは景色の変わり映えしない単調な登りが続く。

アプローチが長いが、上は別天地だ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 前天狗岳が近づいてくると、岩場が多くなってきて「キュイッ」というかわいらしいナキウサギの声が頻繁に聞こえるようになる。夏は花畑が広がっていそうな、急峻なカール状地形に2ヵ所ほどあるザレ場・ガレ場を越えると、思わずワッと声を上げる景色が迎えてくれた。

主稜線に出ると、通称オッパイ山(東・西クマネシリ)など楽しい眺めとなる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
何度でもニペドンが味わえる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
天狗岳からの素晴らしい眺め(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 青空が大キャンバスとなり、夏は高山植物、秋は草もみじが美しく彩る。ここからは楽しい稜線歩きなのだが、登って下りてを繰り返す厳しい道がまだまだ続く。2時間弱で山頂へ到着だ。

 たまたま、山頂で会った地元民が「今日は今年で一番の晴天なんじゃない」と言うほどの快晴だった。それは、カッコいいだけじゃなく、険しく厳しい道のりでの疲労を忘れさせてくれるご褒美となった。下山は登り返しなどもあり、徐々に体力を奪われてかなりきつく、休み休み歩いたため16時頃となってしまった。

右奥から大雪山、忠別岳、トムラウシ等の大雪山系がよく見える(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

■ニペドンを目指して

 山頂で出会った人達は、ニペソツへ登り気に入ってそのまま移住してしまった人や、天候に恵まれず数十年越しに念願叶って登頂できた人、百名山を終え、「今まで登った山で一番カッコいい」という人など、それぞれの猛者なストーリーを背負って訪れていた。

 ニペソツはとにかく他にはないすばらしい山なのだが、だからといって気楽に登ってみませんか?  などとは言えない。それでもニペドンされたい方は、綿密な準備をして臨んで、ぜひ山登りを全力で楽しんでいただきたい。