霧島連山の中でも、ひときわ美しいシルエットの高千穂峰を背に建つ霧島神宮「本殿」「幣殿」「拝殿」が、国宝に指定された。標高約500mの斜面に建立された霧島神宮は、国宝指定された三殿もさることながら、国歌に詠まれたさざれ石や、天空に向かってそびえる御神木など、見どころ満載。

 今回は、そんなパワースポット・霧島神宮から、霧島アートの森、名湯・霧島温泉の旅行人山荘まで、「天孫降臨の地」を体感できるマインドフルな旅を案内する。

■天孫降臨の高千穂峰と天孫を祀る霧島神宮

霧島神宮の「拝殿」の色鮮やかな装飾(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 古事記には、天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が初めて地上に降り立った神であり、降臨した地は高千穂だったと記されている。その高千穂峰を背に、ニニギノミコトを主祭神として祀った神社こそが、2022年2月9日付け官報告示で国宝に指定された霧島神宮だ。

 同神宮の起源は、6世紀に遡る。当初の霧島“神官”は、高千穂峰とその西側にある火山・御鉢(おはち)の噴火口の間に位置していた。これが長い歴史の中で、たび重なる噴火と災禍を経て、高千穂河原、そして現在の霧島田口へと移された。

 鹿児島藩主・島津吉貴の寄進によって、1715年に建立された現在の霧島神宮は、標高約500mの場所に位置している。今回国宝に指定された拝殿、幣殿、本殿は、急傾斜に沿って上下に並ぶ、一続きの建造物を構成している。

 境内へと続く階段を登った先に現れる社殿の姿は、じつに優雅。普段は一般公開されていないが、本殿の「龍柱」に代表される鮮やかな装飾が、古くから南九州に影響を与えてきた東アジア文化の名残りをとどめている。

霧島神宮のご神木。坂本龍馬が新婚旅行の様子を姉に伝えた手紙にも登場する(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 秋には紅葉が色づき、天候がよければ敷地内の展望所から桜島と錦江湾を臨める絶景スポットでもある。展望所付近には天孫降臨を伝える「神聖降臨之碑」、三の鳥居のふもとには「さざれ石」、境内には樹齢約800年、樹高約38mのご神木・霧島杉がそびえる。この一帯には、信仰心の有無にかかわらず、心身が浄化されるような清廉な空気が満ちている。

●霧島神宮

・住所:鹿児島県霧島市霧島田口2608-5
・電話:0995-57-0001

・URL:https://kirishimajingu.or.jp/
※営業日時はホームページよりご確認ください