■良質な羅臼昆布のヒレ刈り体験しよう

幼少期から昆布漁に携わっていた人たちが、羅臼昆布の超基本から分かりやすく解説してくれる

 海の恵みが豊富な羅臼町は昆布漁も盛んなエリア。栄養たっぷりな海で育った羅臼昆布の魅力に触れられるのが、「昆布倉庫見学と羅臼昆布ヒレ刈り体験」のアクティビティだ。幼少期から昆布漁に携わっていた人たちの説明とともに所蔵施設を見学し、昆布のとり方、加工の手順などを説明してくれる。漁では、箱メガネを口にくわえて海底の昆布を探し、「マッカ」と呼ばれる先が分かれた長い竿で昆布を巻いてねじりとるのだという。どちらの用具も重量感があり、揺れる船の上でこれほど重いものくわえて昆布を引き上げることを思うと、昆布漁は想像以上にハードなものだ。

■23工程のひとつである「ヒレ刈り」に挑戦

大きなハサミでヒレを刈る。乾燥した昆布は硬くて意外と力が必要だ

 羅臼昆布は知床半島の羅臼だけに生息する鬼昆布の一種。北海道で獲れる昆布は日本の昆布の95%を占めるが、羅臼昆布はそのうちのわずか1%だ。収穫した昆布は洗ってから浜の玉砂利の上に干し、さらに乾燥小屋で干したり、日が落ちてから浜辺に並べて夜露で湿らせたりと、23もの工程を経ることが特徴。アクティビティでは工程のひとつである、昆布の根元と、「ヒレ」と呼ばれる両サイドのヒダ状の部分を刈り込む「ヒレ刈り」の作業を体験できる。

 市販されている羅臼昆布は、ヒレ刈りをした後、1枚の昆布が150gあると1等という最上等級に選別されるという。実際にハサミでヒレを切っていくと、昆布を大きくしようと欲張ると端っこにしわしわとしたヒレが残ってしまい、大きく刈りすぎると細い昆布に仕上がってしまう。そして、まっすぐきれいに切るのも意外と難しい。形を整えた昆布は持ち帰ることができ、出汁や料理に使って楽しめる。ヒレ刈りで残った切れ端のをつまんでそのまま食べてみたところ、しっかりした塩気とともに豊かな旨味が口の中にブワッと広がった。流氷がもたらすたっぷりの栄養と独特の地形が広がる羅臼の海。シャチやイルカ、クジラがたくさん集まるだけでなく、おいしくて上質な羅臼昆布も育ててくれる、まさに恵みの海だ。