北海道の羅臼町は、世界自然遺産に認定された世界有数の自然に恵まれた町。豊かな自然と人を結ぶ拠点となる施設が「知床羅臼ビジターセンター」だ。環境省が設置したこの施設では、知床の海や山の自然のほか、羅臼の歴史や文化についても深く知ることができる。
■世界自然遺産に登録された自然や歴史を6つのテーマで紹介
日本最北東端の国立公園に指定されている知床国立公園は、オホーツク海に突き出す知床半島に広がる山や海岸が織りなす壮大な景観、流氷がもたらす生態系など、原生的な自然が残る楽園。知床羅臼ビジターセンターでは、これらの情報を展示や映像などの解説によって伝えている。テーマ別の展示では、知床の成り立ちからはじまり、知床の海、川、山など、世界自然遺産に登録された自然や歴史を6つに分けて紹介。知床にある自然は多種多様で、環境ごとにさまざまな生き物や植物がいるのだと実感できる。
■シャチの骨格標本は一見の価値あり
テーマ別の展示スペースには剥製や標本が展示されており、最も目をひくのがシャチの全身骨格標本だ。羅臼沖の根室海峡は世界有数のシャチの観察ポイントで、クルージング船などでその姿を見ることができる。シャチはイルカよりも大きなものだと、何となくは知っていても、間近で見る機会はそうそうないだろう。実際に骨格標本を近くから見ると「大きい!」とその迫力に圧倒される。哺乳類とあってヒレの部分には手のような骨が並び、鋭い歯がびっしりと並ぶ様子を見ていると、「海のギャング」や「海中最強」と呼ばれるのも納得。また、腹部に小さな骨があり、これは骨盤が退化したもので、太古の昔に地上で歩行していた恐竜時代の名残なのだとか。