雄大な自然が広がる北海道は、多くの野生動物が共存する楽園のような場所。なかでも知床半島の東に位置する羅臼町は、シャチやクジラ、イルカなどが回遊するポイントとして知られている。これらの海生哺乳類は羅臼港からそう離れていない海域に集まっており、ネイチャークルーズのツアーによってより近くから見ることができる。

■羅臼の海に、なぜシャチやクジラがたくさん集まるのか?

対岸に国後島が見える根室海峡。クルーズ船でこの海域をめぐる

 羅臼町は冬になると海辺を流氷が埋めつくし、春になるとたくさんのプランクトンを発生させる。また、羅臼沖の根室海峡は海底が急峻な地形で、深い海が広がっている。こうした栄養たっぷりの深海が、エサを求めて多くの海生哺乳類が集まる環境を生み出した。特に羅臼沖は世界有数のシャチの観察ポイントとして有名で、よく見られる時期は4月から7月上旬あたり。また、7月に入るとマッコウクジラが現われる。

 さらに羅臼町は根室海峡の向こうに国後島が見える場所。町から最短で25kmほどしか離れておらず、船で沖に出るとさらに島が近い。この場所ならではの景観のなかでネイチャークルーズツアー体験ができるのだ。

■ではさっそくネイチャークルーズを体験

羅臼港を出て2時間30分ほどかけて根室海峡をクルージング

 今回乗船したのは、知床ネイチャークルーズの「Ever Green号」。乗船の際に手渡されたライフジャケットを身につけ、ワクワクした気分で出港を待つ。羅臼港を出港すると、船は国後島方面に向かっていく。乗船した日はシャチが見られる時期を過ぎており、この日はマッコウクジラに会いにいくのがメインの内容だ。船は1階が窓のある客室でのんびり座ってくつろげ、イルカやクジラが現われたら両サイドのデッキに出て、低い視線から観察できる。2階は屋根付きの屋外席になっており、潮風を感じながら海を見渡せるのが気持ちいい。