北海道の北東部、オホーツク海に突き出た知床半島は、世界自然遺産に登録された手つかずの自然が豊富なエリア。半島の中央を背骨のように知床連山の山並みが延び、稜線を境に東西に2つの町が分かれている。その東側に広がるエリアが羅臼町だ。山も海もあるこの町は、羅臼岳や知床連山のトレッキング、観光船によるクルージングなど、「これぞ北海道の大自然」を体験できる場所。また、根室海峡の対岸には国後島が見え、羅臼町から最短25kmしか離れていないため、その近さに驚かされる。

国後島からのご来光を望む「野遊びフィールド」のキャンプサイト

 町内にある「知床羅臼・野遊びフィールド」と「羅臼オートキャンプ場」は、どちらもこの国後島を見ながらキャンプが楽しめる希少な環境。加えて、道の駅などで海産物が豊富に手に入り、北海道の海の幸をたっぷり使った極上BBQまでできる最高のロケーションとなっている。

■4サイト限定! 知床のロケーションと充実のギアが揃った「知床羅臼・野遊びフィールド」

ウッドチップを敷き詰めたサイトにテントが設営されている

 「知床羅臼・野遊びフィールド」はもともと町営スキー場だったフィールドをキャンプ場にリノベーションしたもの。スキー場閉鎖後、ここから見えるすばらしい景色を残したいという町民の思いとともに、国産アウトドア総合ブランドのスノーピークがプロデュースした2020年オープンのまだ新しいキャンプ場だ。海に面した小高い場所にあるため、眼下に漁港、その先には根室海峡、そして対岸の国後島までひとまとめに見られる絶好のロケーション。コース中盤の平坦な場所にキャンプサイトが整備され、テントや寝袋、テーブルやチェアなどの用具はスノーピーク製品が用意されている。品質に定評のあるドメスティックブランドのギアを使用できるうえ、敷地内のサイトは4つのみと、プライベート空間が確保された贅沢な環境だ。

海が見えるシーサイドが3つ、山側のマウンテンサイドが1つの個性的な4サイトを用意
テント内の寝室は広々空間。寝具などの必要なアイテムもすべて用意されている

■「センターデッキ」でたっぷり海の恵みを味わおう

一段高くなった「センターデッキ」はより高い視線から景色を楽しめる

 テント内で火器は使用できないため、調理する場所はキャンプサイトの中心に用意された「センターデッキ」に限定されている。タープの下にテーブルやイス、BBQ用具などが用意されているので、好きな食材を持参して調理するだけ。カップや皿、包丁などは受付があるロッジでレンタル可能だ。ロッジ内の売店で食材も売られているのだが、これがまた地域色あるものばかりであれこれ食べてみたくなる。ホッケの開きやイカの一夜干し、ブリのなめろう、ほや貝のさしみ、カニの足など、漁港がすぐ側という立地とあって心惹かれる海産物が充実している。

地元の海産物をキャンプで堪能。とくに栄養たっぷりの羅臼の海で育ったホッケはサイズも大きく肉厚だ

■焚き火を囲んで歓談。ときには地元住民との触れ合いも

ときには地元住民が「語り部」として訪れ、焚火を囲みながら羅臼の魅力を語ってくれる機会もある

 センターデッキの横に設置された焚き火コーナーは、日が暮れると自然に人が集まる憩いの場に。夜が更けると頭上いっぱいに星空が広がり、海が近いため視界が広く、どこまでも星空が続く開放感を味わえる。漁港の灯りがわずかにあるのみで街灯がほとんどなく、月のない晴れた夜は空を横断する天の川までしっかり見える。ときどき港から漁へと向かう船の灯りが見え、遠くからそっと汽笛の音が届いてくるのも味わい深い。

 北海道は夏でも夜は冷え込むため、防寒着は必須アイテムだ。それでも寒さが不安と感じてもご安心を。各テントにストーブが用意されているので温かな室内で快適に過ごせる。

遮蔽物のないワイドな夜空を満喫できるのも、海が近いという立地のメリット