登山家の野村良太さん(27歳)が史上初となる、徒歩による積雪期北海道分水嶺縦断を63日間で見事成功させた。

 2022年2月26日、北海道の北端である宗谷岬を出発した野村さんは、分水嶺となる北海道の山々を踏破して、4月29日の13時57分、北海道の南端である襟裳岬に到着した。

 宗谷丘陵、北見山地、石狩山地、日高山脈を越え、踏破距離はおよそ670km。途中、人里はなく、事前に4ヶ所にデポした食料などを回収しながらの長期縦走登山を単独で成し遂げた。

 北海道を東西に真っ二つに分けるように縦断する分水嶺縦断は、単独、パーティー問わず、未だかつて成し得た者はいなかった。野村さんは昨年の2021年にも挑戦していたが、日高山脈で悪天候によるトラブルにより途中敗退していた。2度目の挑戦となった今回は、装備や日程、出発時期などを見直して挑んだ。

 現在山岳ガイドとして活動している野村さんは大阪府豊中市出身。北海道大学へ進学し、同大学ワンダーフォーゲル部で登山を始めた。2019年に単独で積雪期の知床半島全山縦走(13日間)、日高山脈全山縦走(17日間)。2020年には厳冬期表大雪十勝連峰縦走(12日間)などで経験を積み重ねてきた。

2月26日に宗谷岬をスキーで出発した野村さんは、3月12日に最初のデポ地点であるピヤシリ山避難小屋に到達。
3月18日には第2デポ地点の天塩岳避難小屋へ到達して大雪山系の山へ。
3月31日ヒサゴ沼避難小屋へと着実に進んでいった。
4月11日に最後のデポ地点であった佐幌山荘を出発。装備をスキーからスノーシューに変更して最大の難関となる日高山脈へ。

 長い縦走中、数々の困難を乗り越えてきたという野村さん。スタートしてから最後まで、一度も山を下山することなく、襟裳岬まで歩み続けた。山行中も定期的にSNSで情報を発信しており、ゴールの襟裳岬では到着を待ちわびていた友人たちに出迎えられ、満面の笑みを浮かべた。