■「金峰山」の読み方は県によって異なる
山頂手前で森を抜けてからは一転、準独立峰らしい素晴らしい眺望が広がる。八ヶ岳に南北中央アルプス、富士山も見え、近くには国師ヶ岳や大菩薩、瑞牆山も一望できる眺めはなかなかのもの。
ちなみに、「金峰山」は“きんぷさん”と読むのが正しいのか、それとも“きんぽうさん”と読むのが正しいのだろうか。
答えは、どちらも正解。山梨県では「きんぷさん」、長野県では「きんぽうさん」と読むのだそうだ。山を挟んで北側にあたる長野県の小川山と、南側にあたる山梨県の乙女湖の脇には、それぞれ同じ名前の宿「金峰山荘」があるが、読み方は言わずもがなである。
■山頂の五丈岩には登らないで!
花崗岩の積み木を重ねたような山頂の巨岩「五丈岩」が象徴的な金峰山は、蔵王権現を祀る信仰の山としても知られている。古くは467年に開山されたとの記録も残っており、各地から登拝する人たちが集まり、山も麓の町も大いに賑わったそう。現在、観光地として人気の昇仙峡には、金峰山をご神体とする「金桜神社」があり、その門前には200もの参拝者の宿舎があったというのだから、かつての賑わいぶりが想像できるだろう。
たまに五丈岩の上に登っている人を目にするが、神聖な岩を登るのは厳禁。過去に滑落して亡くなっている方もいるので、くれぐれも登らぬよう。
■このルートだけでは金峰山の良さは味わい切れない
と、ここまで金峰山に楽に登れるルートを紹介してきたが、この山は元々修験の山であり、大弛峠からの稜線以外にも麓からは数々の参詣道が山頂へと延びている。
どのルートを歩くのか次第では、また違った金峰山の魅力に触れられるので、今回紹介した行程を歩いたあとも、ルートを変えながらより修行的な山登りも楽しんでいただきたい名山である。