日本三大大仏と聞いて、人はどの大仏を思い浮かべるだろうか。

 奈良、そして鎌倉。おそらくほとんどの人がこの二つを挙げたあと、もう一つはどこ?  となるだろう。答えは意外にも、おしゃれな港町・神戸の兵庫大仏(高岡大仏、岐阜大仏など諸説あり)。

 その昔、平清盛が都を移した福原京の南辺、「兵庫津(ひょうごのつ)」と呼ばれるエリアを歩き、日本最古のビリケンや日本最大の運河、そして兵庫大仏を追った。

兵庫津散策のルート

■日本最古のビリケン木像

住宅街に佇む松尾稲荷神社

 住宅街にひっそりと佇む松尾稲荷神社。幽玄な雰囲気にたじろぎながらも本殿に入ると、いちばん奥にビリケンが祀られていた。ビリケンといえば大阪・通天閣が有名だが、元はアメリカのデザイナーが生み出した幸福の神像。日本へは明治時代に紹介されて大ブームとなった。

日本最古のビリケン木像

 戦災を生き抜いて現代に伝わるものは少ないが、この松尾稲荷神社のビリケン像は大正中期につくられた現存最古の木像といわれている。