■過去にあった大きな水難事故

 過去に起こった重大な水難事故について簡単に紹介する。

●都賀川水難事故

 2008年7月28日に兵庫県神戸市灘区の都賀川(とががわ)で起きた水難事故。神戸市で起きた突発的な局所豪雨による急激な水位上昇で16人が流され、5人が亡くなった。

 住宅地で道路舗装が進んだ上流の排水域で、急激に雨が振った結果、本川に流入。結果、急激な水位上昇を引き起こしたのが原因と言われている。

●玄倉川水難事故

 1999年8月14日に神奈川県足柄上郡山北町の玄倉川(くろくらがわ)で起きた水難事故。中州でキャンプをしていた会社員ら18人が大雨によって流され、13人が亡くなった。

 警官の警告に従わなかったこと、ダムが放流されたこと、救助が上手くいかなかったことなど、さまざまな理由で被害が拡大した。

■河川でテントやバーベキューをしてはいけない場所とは

 結論から言うと、河川に「安全な場所」は存在しない。河川は常に放流や増水の危険に晒されており、全ての場所でがけ崩れや浸水の恐れがある。どの場所に設営・設置しても、危険と隣り合わせであることは頭に入れておいてほしい。

中洲には絶対に設営しないこと。崖の下やカーブ、退避場所が無い場所も避けるようにしよう(撮影:shou.outbreak

 河川でテントやバーベキュー機材を設置してはいけない、しないほうがよい場所は、代表的なものとして以下が挙げられる。

・中洲
・川のカーブしている外側部分
・川に近すぎる場所
・崖の真下・真上

 特に中洲では、絶対に設営をしてはいけない。河川の水位はダム放流や大雨によって急に上昇する恐れがあり、水位の上昇に気付いても、川を渡れないほど水流が強くなってることがあり危険だ。

 急に増水して退去する時間が無くなる場合や、警告を無視して居続けたことで取り残される場合がある。

 川の外側部分が崖になっているのは、長年川の流れによって削られたことによる要因が大きい。想像以上に脆くなっている上に、川底が深いのも特徴だ。

 また増水や土石流が起きた場合、カーブの外側は堤防が決壊し、被害を受けやすい。できればカーブの内側に設営する方がよいだろう。

 河川でキャンプやバーベキューの設営・設置場所を選ぶときは、すぐに退避できる場所があるカーブの内側で、崖がない所がおすすめだ。