京都府宮津市の「天橋立」は日本三景の一つで、展望台から眺める「股のぞき」が有名な人気の観光地。海流によって運び込まれた砂が何千年もの時間をかけて堆積し、海に挟まれつくられた砂州(砂状の道)だ。幅は20〜170m、約6700本の松が生い茂る珍しい地形でもある。

 その長さは約3.6kmにわたり、徒歩で40~60分ほどかかるため、天橋立を歩かずに船で向かいの岸まで渡る観光客も多い。

 しかし、2022年4月に「電動キックボード」のレンタルサービスが登場し、新たな観光スタイルが定着しつつある。今回はこの電動キックボードで巡る“令和風”天橋立の旅に焦点を当てた。

■“天に架かる”神秘の松並木

展望台から眺める天橋立の絶景(写真提供:丹後海陸交通株式会社)

 天橋立は、一筋に広がる松並木が「天に架かる橋」のように見えることが名前の由来と言われている。「丹後風土記(たんごふどき)」によると「神様の伊射奈芸命(いざなぎのみこと)が天界と下界をつないだ梯子(はしご)」とされており、立てられていた梯子が、伊射奈芸が眠っている間に海上に倒れ、そのまま一本の細長い陸地になった、という神話が残されている。

 天橋立は寺社や記念碑に加え、端から端まで続く白い砂浜や松並木の絶景など神秘的な魅力が溢れている。また、名物の「股のぞき」は、空に浮かぶ雲が海面に映る景観を逆さに見ると、空と海が逆転し、天までつながる橋のように見えることから、その神秘の景色を眺めようとしたのが始まりとみられ、今では定番の楽しみ方になっている。