■北海道の自然の中でつくられる「男山」

純米大吟醸は、45年連続で「モンドセレクション」金賞を受賞(画像提供:男山株式会社)
「延命長寿の水」の開放時間は9時から17時まで。容器持参で訪れたい(写真:佐藤麦)

 「男山」では、例年10月から3月が日本酒製造の期間。製造期間中には、資料舘からその様子を見学できる。「男山」の純米大吟醸は、「厳しい寒さが生むキリっとした淡麗辛口の味」が特徴。展示室の解説からは、北海道の地に根ざした酒づくりへのこだわりが随所に感じられる。

 北海道の寒冷な気候は、これまで酒米の栽培には向かないといわれてきた。「男山」でも、これまで酒米には、品質のよい道外産の山田錦を中心に使用してきたが、近年品質のよい道産酒米の新品種が相次いで誕生。これを受け、道産の酒米を使用した「北の稲穂」シリーズといった銘柄の生産にも力を入れているそうだ。

 また、仕込み水は地下から汲み上げた大雪山の伏流水。軟水の旭川市の水道水と比較し、ミネラルが多い中硬水の水だ。この仕込み水は、「延命長寿の水」として試飲はもちろん、容器を持参すれば持ち帰ることもできる。

 資料舘には、無料の試飲コーナー(一部有料)があり、好みの日本酒を探すのも楽しい。売店では、蔵元限定酒や、男山の仕込み水と旭川産の酒米を使った「男山の仕込み水で造ったクラフトビール」も忘れずにチェックしよう。これからの季節は、お酒の香りが楽しめるアイスクリーム「北海道愛す」もおすすめしたい。アルコール度数は1%未満と、お酒の弱い方やドライバーにも嬉しい。

■環境保全への取り組み

カタクリとエゾエンゴサクが咲く「男山自然公園」(写真:佐藤麦)

 「男山」は、自然へのリスペクトも忘れない。「男山の酒は北海道の自然があってこそ」との考えから、持続可能性を意識した取り組みも行っている。雪解けとともに、スプリング・エフェメラル「春の妖精」と呼ばれる花々が一斉に咲く「男山自然公園」の管理運営事業だ。特にカタクリの花は、道内最大規模といわれるほどの大群生。花の咲く春にだけ一般にも限定公開され、例年多くの人が訪れる。

 さらに昨年7月からは、リユース可能な酒瓶の空瓶回収を行う「みんなのマイボトルメンバー制度」も導入。酒瓶を持ち込みポイントを貯めると、リユース瓶を使った男山商品を受け取ることができる制度だ。近年、空き瓶の回収率が低下している現状を改善したいとの使命感から、「男山」以外の酒瓶の回収も行っている。

 北の大地に根ざした酒造りを続ける「男山株式会社」。「男山酒造り資料舘」は、北海道の歴史と自然の恵みを肌で感じられる場所のひとつと言えるだろう。周辺を訪れた際には、立ち寄ってみてはいかがだろうか。「延命長寿の水」を入れるマイボトルも、お忘れなく!