「清和源氏」は、平安時代に清和天皇より源姓を賜り、臣籍降下した「経基王」こと「源経基」に始まる。二代目の「源満仲」は今の兵庫県川西市一帯の「多田荘(ただのしょう)」を本拠地とし、それ以来、川西市は源氏発祥の地として知られている。今回はそんな源氏ゆかりの地を歩いてみた。

■多田神社

 「多田神社」は、源満仲公とともに源頼光、源頼信、源頼義、源義家の五公をる神社。頼光、頼信は満仲の子にあたり、それぞれ摂津源氏、河内源氏の祖となった。

 なお、頼光は「酒吞童子(しゅてんどうじ)」や「土蜘蛛」退治などで有名である。頼信の子の頼義と孫の義家は、「前九年の役」「後三年の役」で活躍。その子孫が「鎌倉幕府」を開いた源頼朝だ。

「多田神社」拝殿(国指定重要文化財)(写真:ブラボーマウンテン編集部)

 多田神社の見どころは、国指定重要文化財や県指定重要文化財となっている歴史的建物が多く存在する点だ。加えて、猪名川(いながわ)にかかる御社橋(みやしろばし)、そして酒呑童子の鬼首洗いの池など。また、境内のどこかで馬を飼っており、どこからか聞こえる馬のいななきが、源氏発祥の地の雰囲気を盛り上げてくれる。緑豊かな境内は四季を通じて楽しめ、晴れの日だけでなく、雨の日もまた風情があって美しい。

多田神社前の御社橋(写真:ブラボーマウンテン編集部)
多田神社境内には思わず写真を取りたくなるような場所がたくさん(写真:ブラボーマウンテン編集部)
「多田神社」境内の歴史を感じる塀と門(写真:ブラボーマウンテン編集部)
JR川西池田駅にある源満仲公像。阪急川西能勢口駅のすぐ近くなので寄ってみよう(写真:ブラボーマウンテン編集部)

 多田神社への行き方は、車かバス、もしくは能勢電鉄になる。車の場合は、国道173号線の多田駅前交差点を東に入り、約5分走る。駐車場は300円の多田神社専用駐車場を利用。能勢電鉄利用の場合は「多田駅」より徒歩15分。

 バスの場合、阪急宝塚線川西能勢口駅東口バス停より阪急バス12系統に乗り、多田神社前で下車する。乗車時間は約13分で、運賃220円だ。

■頼光寺

雰囲気のある頼光寺入口(写真:ブラボーマウンテン編集部)

 頼光寺は、多田神社より北へ少し行ったところにある真言宗の寺。その名の通り、源頼光を祭る寺である。頼光の弟である「源賢」開基の寺で、歴史も相当古い。

 この頼光寺、日頃は静かな寺なのだが、梅雨になると多くの参拝客が訪れる。目当ては梅雨に一斉開花するアジサイ。頼光寺は有名な「アジサイ寺」なのだ。

梅雨に入ると、頼光寺のアジサイは一斉に開花する(写真提供:川西市)
頼光寺へは能勢電鉄の線路をくぐって参拝する(写真:ブラボーマウンテン編集部)
参拝時は梅雨入り直前。もう少しすると散策路のアジサイは満開となる(写真:ブラボーマウンテン編集部)
開花直前のアジサイ。頼光寺の一年で一番美しいシーズンは目前だ(写真:ブラボーマウンテン編集部)

 頼光寺への行き方は車か電車だ。車の場合、頼光寺無料駐車場に停めて参拝する。駐車場は広くて停めやすいが、駐車場に入る道は狭いので注意が必要だ。

 電車で直接頼光寺に向かう場合、阪急宝塚線川西能勢口駅から「能勢電鉄」に乗り換えて、「畦野(うねの)駅」で下車。川西能勢口駅から畦野駅間の運賃は270円だ。なお、阪急から能勢電鉄に乗り換える場合、ホームが変わるだけなので、駅から出る必要はない。畦野駅から頼光寺までは約400mで、歩いて10分程度。寺の山門は頼光寺駐車場から能勢電鉄の線路の下をくぐると現れる。

 多田神社から頼光寺に電車で向かうには、能勢電鉄多田駅から畦野駅で下車。運賃は190円だ。多田神社から多田駅までは約1.2kmある。ゆっくり歩いて20分程度だ。

 梅雨時期は外遊びがしにくい季節ではあるが、ぜひ雨の多田神社と頼光寺を楽しんでいただきたい。

●多田神社

・住所:〒666-0127  兵庫県川西市多田院多田所町1-1

・URL:http://www.tadajinjya.or.jp/

●頼光寺

・住所:〒666-0117  兵庫県川西市東畦野2丁目17−2

・URL:https://www.city.kawanishi.hyogo.jp/shiseijoho/shokai/kankouannai/1003058/kankou_raiko.html