4月末から5月初めに青紫色の花をつけ、見頃を迎える藤。山歩きでふと見つける野生種もきれいだが、公園で整然と垂れる花々も見応えがある。

 藤の花が美しい公園は日本に数々あるが、岡山県には「日本一」を標榜する藤の公園がなぜか3つもある。しかも、どれもれっきとした「いちばん」なのである。

 今回は、3つある日本一の藤の魅力について、地元在住の筆者が紹介。付近の観光スポットにも触れる。

■和気町・藤公園 ~品種数日本一~

夜間ライトアップされた和気町・藤公園(写真提供:岡山県和気町)

 岡山県東部・和気町にある藤公園。約7000平方メートルの敷地に、幅7メートル、総延長500メートルの藤棚が延びている。

 この公園の日本一は、藤の品種の数にある。全国46都道府県から約100種類の藤を集めている。1県足りない、残念、と思われるかもしれないが、これは亜熱帯の沖縄県に野生の藤が存在しないためだ。

 4月下旬から5月上旬にかけて「藤まつり」を開催(今年は規模を縮小)。夜間ライトアップされた紫の花はひときわ美しい。

 この和気町は、平安京を造営した和気清麻呂(わけのきよまろ・733ー799年)の出身地。藤公園のすぐ近くにある和気神社では、イノシシの群れが清麻呂を救った伝説にちなみ、狛犬ならぬ「狛イノシシ」が鎮座している。

藤公園の近くにある和気清麻呂像。写真右には、鳥居の前に狛イノシシが鎮座している

 また、藤公園入り口にある和気町歴史民俗資料館には、清麻呂に関する史料などを展示。「東洋のロダン」と称された明治から昭和期の彫刻家・朝倉文夫が手掛けた清麻呂像もそびえている。

 さらに、藤公園から少し歩いた場所には、生産量日本一のこいのぼりメーカー「徳永こいのぼり」がある。真鯉や緋鯉たちが初夏の空にたなびきながら、藤を見に訪れる観光客たちを出迎えてくれる。

 施設名:藤公園
 所在地:岡山県和気郡和気町藤野1386-2
 入園料:大人300円、子ども150円(花の見頃期間以外は無料)

■玉野市・渋川公園 ~藤棚の長さ日本一~

長さ日本一の玉野市・渋川公園の藤棚

 瀬戸内海に面する港湾都市・玉野市にある渋川公園。岡山県最大の海水浴場・渋川海岸に隣接している。

 この公園の日本一は、全長900メートルを誇る藤棚の長さにある。シーズンには紫や白などさまざまな色の花が付く。玉野市のホームページでは「日本一の長さ」「日本有数の長さです」と記されており、地元の人が「こけぇある藤棚が日本でいちばん長げぇんじゃ」(ここにある藤棚が日本で一番長いのだ)と語るほど、地域の人にとっても自慢の藤棚になっている。

 近くには親子連れにおすすめの水族館・玉野海洋博物館がある。また、絶景が望める王子が岳など山登りのスポットもある。

 施設名:渋川公園
 所在地:岡山県玉野市渋川2丁目9
 入園料:無料