3月に入り気温も上がり、ひときわ寒かった冬も終わろうとしている。気づけば早い地域では桜の開花も始まっている。これからどんどん咲きほころび花見はもちろん、撮影するのを楽しみにしている人も多いのでは?

 薄紅色に咲く花は絢爛でありつつも儚さを感じさせ、春の風情を感じさせてくれる存在だ。日本人にとって身近な桜の花を被写体に写真を撮りたい! 印象的な写真にする“ひと工夫”をお伝えしたい。

■繊細な“サクラ色“を写す!

濃いところから明るいところまでのトーンを見せて画面構成

 桜、とくにソメイヨシノの薄紅色は思った以上に薄く、写真にすると白っぽくなりがちだ。かといって暗めに撮ると透明感や華やかな雰囲気が出なくなってしまいがち。微妙なトーンを出すには、いわゆる“花曇り”の日に撮るといい。けれど、せっかくなら晴れた日に撮りたい!

背景の桜と重ねると、色味が出しやすい

 そんなときは、花々が重なり合うことによってうまれる濃淡を生かしてみよう。同じ場所で咲く花も、よく観察すると微妙に明るさに違いがあることに気づくだろう。画面の中に、明るいところから色の濃いところまで入るようにしてみる。うまく切り取れば美しいトーンを見せてくれるはずだ。

■青空・緑の背景で印象的に演出!

下生えの草の緑が桜の色を引き立てる

 桜を画面の主役にしつつも、背景にも気を配ってみて。桜の花の色は青空や緑と相性がいい。対照的な色を画面に入れることで、花の色を際立たせる効果がうまれる。

背景で溶けるように交わる桜色と青空

 花の季節はまだ葉が出ていないため、枝が目立って煩雑な背景になってしまうこともある。シンプルですっきりとした背景になるアングルを探してみよう。花との距離が遠いほど背景が“ボケ”やすく、印象的な写真になりやすい。