■斜面は「いつ雪崩てもおかしくない!」

小遠見山の斜面には真新しい雪崩も跡が見える(トップ画像の部分拡大)

 この冬は積雪が多かっただけに、一度崩れる条件が整うと雪崩の規模は大きく、頻度も高いだろう。気温が低く、日当たりの少ない朝のうちでも安全ではない。条件さえ整えば、夜中でも斜面は崩れる。それを踏まえて、登山ルートを選ぼう。

 春の山で起きやすいのは、全層雪崩(地面を境界として積雪全体が滑り落ちる)、ブロック雪崩(雪庇などの雪塊の崩落)、湿雪点発生雪崩(濡れた結合力のない雪によって発生)などがある。

(雪崩の)デブリが堆積する明神岳・奥明神沢(写真は過去のもの)

■かたく凍てついた斜面は滑落の危険!

鳥海山の山頂部。氷化した斜面。風もかなり強かった(写真は過去のもの)

 日中に溶けた雪面も気温が下がれば今度は氷となる。雨などで溶け具合が大きいほど、ツルツルの斜面となる。昼間の暖かい風も曲者で、ドライヤーで溶かしているようなもの。そこに寒気が入って冷たい風が吹きつければ、雪面を磨き氷化させる。

 クランポン(アイゼン)とアックス(ピッケル)があっても、正確な技術がなければ滑落に繋がりかねない。

■不安定なルート!

白馬・不帰2峰。鎖は埋まっているし、雪壁は今にも崩壊しそう(写真は過去のもの)

 雪壁は安定していれば、技術と装備を整えて越えていける。岩場も然り。だが、雪溶け直後の岩場、不安定な雪壁は運頼みになってしまう。ルートの状態を見極める目に自信がない場合は、急な斜面があるような登山ルートは避けるのが無難だ。

 ちなみにこの時期、鎖やハシゴはあてにならない。登山道整備の前なので、信頼できる状態か確認できていないからだ。雪に埋まってしまっている箇所も多い。