■丸一匹を使った煮つけに挑戦
イスズミは70cmまで成長する大型魚だ。筆者の経験では夜釣りだとサイズが大きく、50cm近い大型がよく釣れる。しかし、今回持ち帰ったイスズミは35cm程度の小型の個体。
筆者は小さな魚を食べる際には煮つけにすることが多い。捌くとどうしても身が小さくなってしまうが、丸一匹煮つけてしまえばその心配はなくなるからだ。塩焼きという選択肢もあったが、臭い魚かもしれない魚を塩焼きにするのは勇気がいるので除外した。
特別な調理はしない。醤油、料理酒、みりん、砂糖、しょうがでイスズミを煮るだけだ。
●冬のイスズミは臭くないのかもしれない
煮つけを食べてみたが臭みは全くなく、おいしい。また、肉厚で食べ応えがある。食べた感想としては、外道として扱うのはもったいないおいしい魚だ。
今回食べた際、臭みは全くなかった。しかし、これは冬のイスズミだからだろう。冬のイスズミは藻類を食べているため、臭くなりにくい。
対して、夏は小型の甲殻類などを食べている。甲殻類を食べる魚は独特の磯臭さが増すと言われている。これはメジナも同様で、夏に釣ったメジナを食べた際に臭い個体に出合ったことがある。そのため、理論上では冬ならばイスズミも臭くないわけだ。実際、今回食べたイスズミは臭くなかった。
イスズミが臭いと言われているのはフンをする印象が強すぎるからだと筆者は思う。しかし、一匹食べた程度で証明したとは言えない。再度釣って、他の調理方法を試してみる。
■白身魚の王道・ムニエルに挑戦
今回も期待を裏切らず、すぐにイスズミを釣り上げることができた。そしてこちらも期待通り、体はフンまみれになっている。もちろんリリースせず持ち帰りだ。
同じ調理方法では面白みがないので、今回はムニエルに挑戦する。白身魚を使った料理としてはムニエルは王道で、メジナのムニエルはよく作って食べている。
ムニエルも全く臭みは感じず、「イスズミはおいしい白身魚」という印象に変わった。メジナ同様、筋肉質で肉厚な身なのでムニエルがよく合う。煮つけよりもこちらの方が好みだ。冬のイスズミが釣れた際にはぜひ試して欲しい。
しかし、魚が臭いかどうかを試す手段として外せない調理方法がある。それは刺身だ。これを試さず臭いかどうかは判断できないだろう。刺身のイスズミを食べるため、再度釣り場へと出かける。