イスズミという魚をご存じだろうか。磯釣り師で知らない人はいないほど、非常に良く釣れる魚だ。特に、寒グレと呼ばれ親しまれている冬の脂の乗ったおいしいメジナを狙う釣りでは出合う機会が多くなる。

 イスズミは外道の中でもかなりの嫌われ者だ。見た目はメジナとさほど変わらない。毒を持つわけでもない。しかし、誰も持ち帰ろうとしないほど嫌われている。その理由はイスズミの習性にある。イスズミは釣りあげると、大量にフンをする。その様子を見た釣り人からは「ババタレ(うんこたれ)」と呼ばれている。針を外す際には魚を手に持たなくてはならないため、大量にフンをするイスズミの習性は釣り人にとって質が悪い。

 また、イスズミは身が臭い魚としても知られている。フンをするうえに持ち帰っても身が臭いことから、誰も持ち帰ろうとせず釣り人から嫌われているのだ。

■イスズミは、本当に臭いのか

これまでに数えきれないほど釣っているが、まだ食べたことはない

 嫌われ者の称号を欲しいままにしているイスズミだが、メジナを狙っていると入れ食いになることが多々ある。たくさん釣れる魚が食べられないのは本当に残念だ。

 しかし、あることに気が付いた。筆者はイスズミを食べたことがない。フンをするのは何度も目の当たりにしたが、身の臭さは未体験だ。本当に臭いのか、今回は実際にイスズミを狙い、持ち帰って食べてみることとした。

■イスズミを釣りに磯へ向かう

メジナが釣れない日はあるが、イスズミが釣れない日は少ない 

 イスズミを釣るために磯に向かう。冬の時期にメジナを狙っている場所だ。いつもならたくさん釣れるのにいざ狙うとなると釣れないのが外道だが、イスズミは例外だった。30分もしないうちに1匹釣ることができた。

 針を外す際に手がフンまみれになったこともあるが、服にまで飛ばされたことだって何度もある。その経験から筆者もあまり好きではない。しかし、今回は食べるために躊躇しながらもクーラーボックスへとしまった。

 その後釣り続ければ何匹も釣れたと思うが、まずは様子見で一匹だけ食べてみることにする。