■アプローチは極上のパウダースノー
スタートは北海道最高所にある温泉ホテルの「十勝岳温泉凌雲閣」。https://www.ryounkaku.jp/
富良野岳方面に向うルートはまだ雪が十分ではなく藪だらけのため、今シーズンはまだ人が入った痕跡がなかった。しかし、ギリギリ行けそうにも思える。
おぼろげなラインをイメージし、藪漕ぎ覚悟でスタートすると……。
雪は軽く、深い!
積雪が十分であれば苦もない登りも、藪だらけの急斜面となると難易度は高まる。しかし、雪質は非常に良い。滑らずともわかる、上質のアスピリンスノーというやつだ。
ラッセルと藪漕ぎに苦しめられつつも最初のドロップポイントまでたどり着き、沢ボトムに向ってひと滑りした。
雪は深く、腰から胸まで雪に埋まるパウダースノー! 今シーズン初のディープパウダーだった。思わず、アイスクライミングをやめて滑りにシフトしてしまおうかという誘惑に駆られつつも、目的の滝を目指して沢を登り詰めていく。
尾根上の藪からは想像できないほど、沢の中は吹きだまった雪で真っ白だった。スタートから約2時間、果たして、目指す滝は期待通りの氷瀑となっていた。
■氷瀑を全集中で登る!
貸し切り状態のプライベート氷瀑。時間の許す限り、何本もアイスクライミングを楽しむ。
バイル(アイスアックス)を氷に打ち込んで、モノポイントのアイゼン(クランポン)を蹴り込む。アイスクライミングのためだけに使用する用具の扱いも面白い。
バランスをとりながら、雑に扱うと砕けてしまう氷の感触を探りながら、ただ氷壁を登ることだけに集中する時間は何ものにも代えがたい。ロープで確保しながら登っていくが、落ちれば痛い思いはすることになる。危うく崩れやすい氷を登る緊張感は、アドレナリンを彷彿させる。
他のどんなスポーツにもない、独特の魅力があるのがアイスクライミングだ。
決してメジャーではないアイスクライミング。装備や技術、経験などが必要とされ、気軽に始められるものではない。
しかし、「赤岳鉱泉のアイスキャンディ」https://userweb.alles.or.jp/akadake/sp.htmlや、小川山、「岩根山荘のアイスツリー」http://www.iwane-inc.co.jp/sanso/facility.php?id=icetreeなどの人工的に作られた氷瀑で、アイスクライミングを気軽に体験できる場所もある。そのような施設で、アイスクライミングの第一歩を踏み出すというのもいいだろう。
今回の滝のような、山奥へ入っていく場所、スキーと組み合わせるアプローチなどの究極ともいえるような山行を考えるのであれば、ガイド資格の職能範囲を見極め、その分野に秀でたガイドを頼った方がよい。
今回一緒にスキーとアイスクライミングを楽しんだ石坂博文ガイドのような技術と経験を兼ねそろえた国際山岳ガイドであれば、様々なプランを考えられるだろう。バックカントリースキーやアイスクライミングの心得があるのであれば、相談してみるのもいい。
サッポロマウンテンタイム:https://mountaintime.jp/