もうすぐシーズンイン! すでに準備万端の人もいるだろうが、これから用具を揃えていくスキーヤーも多いはずだ。とくに今年こそゲレンデパウダーや、バックカントリースキーを始めてみたいという人が、真っ先に頭に思い浮かぶスキー用具は「ファットスキー」かもしれない。
新雪滑走をメインに考えるスキーヤーには、ファットスキーと呼ばれる太めのスキーは必須のアイテム。各メーカーからいろんなモデルが用意されている。「このスキーがほしい」という希望があれば、悩むことのないスキー選び。けれど、漠然と「ファットスキーがほしい」というだけでは、数あるファットスキーの中から一つを選ぶのはなかなか難しい。
そんなファットスキーの選び方のポイントを解説していこう。
■身長じゃなくてスリーサイズ!
スキー選びは、まず長さから。身長+何センチの板が基準です……。というのは、もう過去の話だ。スキージャンルが様々に分かれた現在は、単純に身長を基準にした長さだけでスキーを選ばない。それぞれの滑走スタイルによりスキー選びの基準が異なるが、ファットスキーであれば最初に考えるのは「トップ・センター・テール」の幅を示すスリーサイズ。特にセンターの幅が何ミリ(mm)なのかを基準にモデルを絞っていく。
ファットスキーの定義は曖昧だが、大まかにセンター幅80mm以上をファットスキーと分類するならば、80mm、90mm、100mm、それ以上、のセンター幅のスキーに区分できる。各ブランドにより開発コンセプトが異なるため、切りの良い数字で揃っていない。正確には80mm台、90mm台、といった感じになり、センター幅(スキーの足下にあたる、一番細い部分の幅)の太さに比例して、新雪滑走時の浮力に大きな影響が出てくる。
単純に太いスキーは浮力が大きく、深く降り積もった新雪での滑走を容易にする。その一方で太いスキーは、ゲレンデやアイスバーンなどの硬い斜面での滑走性能に難しさが出てくる。そのため、自分がオンピステ(整備されたゲレンデ)とオフピステ(不整地など)をどのような割合、バランスで滑走するか、目的とするかによって、必要となるファットスキーの幅を選ぶことができる。
スキーの形状はセンター幅に対して、トップやテールの幅が太い形状となり「サイドカーブ」と呼ばれるスキー(板)の“くびれ”がある。このサイドカーブはR(ラディアス、回転半径)で示され、ファットスキーでは20mから30mくらいのものが多い。Rが小さければ小回りがきき、Rが大きければ大回りで安定性がある。このようなスキーのスペックは、デザインの一つとして板に記載されてある場合や、新品時に貼り付けてあるシールなどに詳しく記載されていることが多い。
■スリーサイズだけじゃなくて中身も大事
スキーの外見上のサイズ以外にも、重要視すべきポイントがある。
それは内部構造。スキーがどのような素材で作られているかによって、硬さや操作性も大きく変わる。柔らかい新雪の滑走を目的とするファットスキーだが、滑走技術の高い滑り手ほど柔らかな雪の感触を繊細に感じ取る。そのため滑走感覚を左右するスキーの内部構造は、重要な選択ポイントとなる。スキーの心材に木材を使用したものが一般的だが、この木材の種類によって重量や硬さに特徴が出てくる。
また、最近多くなってきたカーボン素材の有無やどのような使い方をしているのかによってもスキーの個性が分かれてくる。
硬めか柔らかめか、ダイレクトな反応かソフトな反応か、これらの好みがはっきりしてくるのはそれなりの滑り手となるが、技術が向上していくほどに、見た目より中身を吟味してスキーを選ぶようになるだろう。滑り手の体格によっても変わってくるので、一概になにが良いということはなく、そのため様々なタイプのファットスキーが存在する。