■標高差150m! 駅前の超低山「塩の山」を登る

フルーツラインより眺める塩の山。小さな独立峰は可愛らしい形だ

 さて、塩の山とはどこぞの山? と思う方も多いはず。この山は、登山をしていれば一度は使ったことがあるだろう、中央線の塩山駅から北側に徒歩で15分の距離にある。初めて訪れたときはこんな駅近に山があるなんて思ってもいなかった。改めてGoogle mapで確認すると、商店街の先に山があるような感覚でおもしろい。

 塩の山の標高は、553mだ。意外に高いなと思ったのだが、塩山の街が標高400mあるため、実際の標高差は150m。登山というより、お散歩気分で歩けてしまう。しかも、登山道にはこれでもかって感じで至る所に展望休憩所が整備されている。休憩する時間が歩く時間より長くなるという、いつもの登山とは違う時の流れが心地よい。登山口から山頂まではわずか20分ほどなのだが、小1時間かけてのんびりと歩きたくなる道だ。

 登山道は赤松林に広葉樹が混ざり、12月だとまだまだ紅葉が楽しめたりして、木漏れ日の中を緩やかに登っていく。展望休憩所からは麓に広がる甲府盆地の先に雪化粧の南アルプスや富士山がくっきりと眺められる。のんびり眺めていると、電車の音が心地よく聴こえてくるなと思うと、可愛らしいミニチュアサイズの特急あずさが盆地の奥へと走って行く姿があったり。街の気配を俯瞰して眺められるのも、低山ならではの楽しみ方だろう。

見事な甲府盆地の展望が広がる山頂。ベンチや東屋が整備されているので、のんびりと展望を楽しもう

 この山は危険箇所はないので、早朝に登ってみて、朝靄のかかる盆地と山々の眺めを堪能するのもいい。手軽に通える山ならではの楽しみ方を模索してみるのもいいだろう。

 山頂の南側は開けていて、盆地の全貌が眺められる。登山道は塩山駅がある南側と北側につけられていて、北側に下山しても、周囲3.5kmしかない山なので、遊歩道で手軽に南側に戻ってこられる。北側の登山道からは奥秩父連峰の金峰山方面の展望もあり、独立峰ならではの展望づくしである。車で来た場合は、南側の麓の向嶽寺(こうがくじ)の駐車場が借りれるようになっているのはありがたい。