山頂部の冠雪がきれいに見える秋晴れの日々から、冬型の天気へ移り変わっていく。11月(10月26日~11月25日、山梨県警発表)の山岳遭難発生状況をもとに、山梨県在住の登山ガイドである渡辺佐智が、県警地域課へのインタビューを行った。事故データをもとに今月の傾向を解説したい。

■2021年11月の山梨県の遭難

山系別遭難発生状況、富士山0件、御坂山系3件(十二が岳、倉見山、霜山)、南アルプス山系5件(七面山、富士見山など)、八ヶ岳1件(編笠山)秩父山系3件(瑞牆山2件、甲府幕岩)、大菩薩・道志3件(大室山、高指山、菊花山)『山梨県警発表、2021年10月26日~11月25日』

 山梨県の11月の遭難件数は15件あり、先月の16件(同時期)に比べて横ばいで推移した。昨年の11月は30件の遭難があり、緊急事態宣言解除もされたことで増加が見込まれたが、大きく変わらなかったことは喜ばしい。私感では、人気の低山は登山者が戻ってきている(場所により混んでいる)印象だったので、月末のこの数字をみて意外だった。

■秋から冬にかけての路面変化が事故に影響

態様別発生状況、道迷い4件、滑落3件、転落2件、転倒3件、疲労0件、発病2件、その他1件『山梨県警発表、2021年10月26日~11月25日』

 どんな原因で遭難が発生しているかを見てみると、道迷いが一番多いのは変わらないが、滑落、転落、転倒を合わせると全部で8件になり、割合を大きく占めるのが気になった。
 なぜ起きたのか詳しく報告書をみてみると、その8件のうち6件は、秋冬特有の登山道の路面変化に対応できなかったことがわかった。どういった変化かというと、落ち葉(濡れても乾いても滑る)、泥濘(夜間凍り日中融けてぬかるみになる)凍結、があげられる。特に山梨県の低山は雪が降るというよりも、凍ることが多いので注意したい。

■遭難結果を見てみると……

山岳遭難発生状況、発生件数15件、遭難者数16名、死亡2名、負傷者7名、行方不明0名、無事救助2名『山梨県警発表、2021年10月26日~11月25日』

 割合が多い負傷者の内容をみてみた。負傷者の中には、軽傷の人と重傷の人が含まれるのだが、11月は7名の負傷者すべてが重傷者であった。過去(→このレポートを書きはじめた2021年7月以降)を振り返ると、今までに負傷者が重傷者だけの月はなかった。

7月は負傷者4件中、2件重傷
8月は負傷者5件中、1件重傷
9月は負傷者3件中、1件重傷
10月は負傷者8件中、6件重傷

 態様別で述べた「秋冬の路面変化」は想定よりも大きな事故になりやすい。これから先の季節は特に、降雪がなくても思わぬところに危険箇所が潜んでいるのを忘れずに。