長野県飯田市から泰阜村(やすおかむら)に至る天竜川の中流域の区間は、前半の弁天港〜時又港(約5km)と後半の時又港〜唐笠港(約8km)の代表的な2コースがある。急流があったり、幽玄で風光明媚なポイントがあったり、人工物が見えないのんびり区間があったりと、さまざまな表情を持つ川旅コースになっている。

 初級者は後半コースのみを、中級以上は前半コースか、2コースを一気に下るという選択も可能。夏でも釣り師を気にせずに下れるが、紅葉の名所でもあるのでおすすめは秋である。今回は、秋に2コースを一気に下った時の記録をご紹介する。

■電車を使った移動手段

 後半の時又港〜唐笠港だけを下る場合、移動手段は電車が便利だ。川と並走するようにJR飯田線が通っているので、純粋に時又駅をスタート、唐笠駅をゴールにするといい。車で来た場合は、唐笠駅に駐車スペースがあるから、そこに車を置いて移動するといいだろう。

無人の唐笠駅。パックラフトの登場で移動も楽になった

 問題は、前半部のスタート場所である弁天港への行き方だ。このあたりになると飯田線が川から離れてしまうため、最寄りの伊那八幡駅から弁天港対岸のスタートの川原まで2.5kmほど歩くことになる。軽量なパックラフトなら30分くらい歩けばいいが、そうじゃない場合や歩きたくない人は、駅からタクシーで行くことになる。

 車が2台ある場合は、1台を唐笠駅に置いてもう1台に乗り合わせ、弁天港の対岸にある広い駐車スペースに移動して、そこからスタートするといいだろう。ゴール後は唐笠駅に置いた車で、その駐車スペースまで戻ってくるといった流れがおすすめだ。

 長く漕ぎたい人は、伊那八幡駅から9駅先の市田駅までいけば川原までが近い。川的にはプラスで6kmほど長いコースとなる。前半部だけで終わりたい人にはおすすめだ。

 ちなみに飯田線のプチ情報だが、車両の扉は入口横のボタンを押さないと開かない仕組みになっている。それを知らないと、ただただ開かない扉の前で立ち尽くし、「開かない! 車掌さん! 開かないですよ!!」と叫んでパニックになるから注意されたし(実話)。

 

ある意味、このボタンに気づくかどうかが最大の難関である